映像の世紀バタフライエフェクト「田中角栄」2023-12-08

2023年12月8日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 田中角栄

この番組で田中角栄のことを取りあげるというのも、ちょっと驚きではある。これまで多くの場合、世界の歴史的出来事がメインだった。それが、日本の戦後の一時期の総理大臣の事跡である。だが、これは見てよく作ってあると思った。

無論、不満というところがないではない。折しも、キッシンジャーが亡くなった。はたして、ロッキード事件の真相はどうなのか。アメリカのかかわりがいろいろと言われている。だが、番組ではこのことには一切触れていなかった。

一九五五(昭和三〇)年生まれの私としては、田中角栄のことははっきり記憶している。首相になった当時、今太閤と呼ばれたことも憶えている。

立花隆の『田中角栄研究』を文庫本で読んだのは、田中角栄が首相を辞めてから、学生のときだった。田中角栄とは、このような人物であったのか、その政治資金のからくりに、なるほどと思ったものである。

やはり私の世代にとって、ロッキード事件は、非常に印象が強い。そのせいもあるのだが、いまだに田中角栄を高く評価するという気にはなれないでいる。

しかし、日本の高度成長経済の時代にあって、「日本列島改造論」はそれなりの説得力のある論であったことも、今になってふり返れば認めなければならないだろう。特に、「裏日本」(このことばは今では使わなくなってしまったが)の人びとの生活をどうするかは、避けて通ることのできない課題であった。高速道路と新幹線の整備によって、地方と都市部の格差を是正しようとする、このことは、まちがった提案ではなかったようにも思える。

今、日本は、もはや成長は見込めない、さらにはこれから人口減少の時代になる。地方は、衰退していくのかもしれない。この時代、もし「日本列島改造論」を再び考えてみるとするとどうだろうか。将来、日本の地方をどうするのか、改めて真剣に考えなければならないときである。

新しい時代の「田中角栄研究」が必要になっていると考える。

2023年12月6日記

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