『おまえさん』2011-10-18

2011-10-18 當山日出夫

『おまえさん』(上下).宮部みゆき.講談社(講談社文庫).2011

でてすぐ買って、ほぼひといきで読んだ。前作『ぼんくら』、『日暮らし』、ともに読んでいるのだが、かなり以前のことになるので、登場人物とか、忘れてしまっている。とはいえ、これはこれで、十分にたのしめる趣向にしあがっている。

ただ、難をいえば・・・「本格ミステリ」めいたところと、江戸人情噺めいたところとが、うまく融合しているとみるか、逆に、ちぐはぐになってしまっているか・・・このあたり、評価の分かれるところであろう。

最初に出てくる「謎」は、きわめて魅力的。が、それを、説いていくプロセスが、いかにも、江戸人情噺になってしまっていて、まどろっこしい感じがしないではない。このあたりを、わけて読めば十分に楽しめる作品だろう。

現代日本を知るために読んでおくべき作家としては、まず、宮部みゆき、があがってくるにちがいない。その作品のなかでは、傍系に位置する作品なのかもしれないが、これはこれで、その語り口と話しを、堪能するというタイプの作品だと思う。

もし、できれば、前作『ぼんくら』『日暮らし』から、順に、いっきに読みすすめるのが、一番楽しめる読み方であろう。

當山日出夫(とうやまひでお)

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