司馬遼太郎 雑談「昭和」への道「第十回 青写真に落ちた影」2023-11-03

2023年11月3日 當山日出夫

司馬遼太郎 雑談「昭和」への道 第十回 青写真に落ちた影

一九八二年の放送である。

坂本竜馬についても、自由民権運動についても、今日ではかなり評価が変わってきているところもあるのかもしれない。

司馬遼太郎は、自由民権運動をあまり高く評価していない。それは、憲法ができ、国会が開設されると、みんな国会議員になってしまって、運動自体が終わってしまったことにある。

はっきりとそう述べたわけではないが、アジアへの膨張主義は、むしろ民権論者にあるもので、国権論者はそうでなかった、という意味のことに触れたところがあった。さらにうがってみるならば、国権論者は、国家のあり方についてのリアリズムがあったということになるのかもしれない。このあたりの議論、いわゆる帝国主義的な国家運営が、どのような思想、人びとに由来することになるのか、興味深い。

そして、この回は、ジャーナリズム論でもあった。ただ、政府を批判するだけの在野ジャーナリズムを、司馬遼太郎は否定的に見ている。これは、現代ではどうだろうか。政府に対する批判も、政権への忖度でゆがめられているというのが、今日の状況なのかもしれない。あるいは、政権の側が、健全な政権批判ジャーナリズムを育てていくべきである、ということも言えるだろうか。

ところで、この回のタイトルにある「青写真」。もうこのことばは、死語といっていいかと思う。ことばとしては残っているが、青写真の実物は、もう使われることはないだろう。私は、かろうじて、青写真の実際を知っている最後の世代かもしれない。

2023年11月1日記

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