映像の世紀バタフライエフェクト「昭和天皇 前編 立憲君主から現人神へ」2026-04-02

2026年4月2日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 昭和天皇 前編 立憲君主から現人神へ

最後まで見て、名前があがっていたのは、古川隆久、梶田明宏、一ノ瀬俊也。昭和の歴史、それも昭和天皇のこととなると、こういう人選になるかなと思う。(あまり、こういうところまで見る人は少ないかなとは思っているが。他にも、昭和史、近代天皇史の専門家の名前は、思いうかぶが。)

番組では、天皇機関説について、昭和天皇自身はそれを肯定する立場であったと言っていたが、これは、近代史の常識だろうと思っている。さらには、昭和の戦前までの時代であっても、高級官僚など、国家の枢要に位置する人たち、知識人の一部にとっては、美濃部達吉の天皇機関説は、ごく普通の考え方であったはずである。

しかし、一般の庶民については、絶対的な天皇制ということが、強制されていたというのが、基本的な理解でいいかと思う。だからこそ、戦後になってからの、天皇制をめぐる、さまざまな言説が問題となるということだと思っている。

ここで、上杉慎吉とか、箕田胸喜の名前を出すこともなかっただろう。

昭和天皇について語るとき、昭和天皇自身がどんな人物であったのかということと、(明治憲法の)その天皇制という制度のもとで、国家の指導者や軍がどのように考えて行動したか、ということとは、とりあえず分けて考えるべきだと思っている。

しかし、これも、西欧の目から見れば、ヒトラーとムッソリーニと昭和天皇がならんであつかわれるのは、歴史の流れとしていたしかたないことではあるだろう。近年だと、これにスターリンがならぶことになるかもしれない。(どういう人物で歴史を語ることになるのかということは、歴史とともに変わる。)

昭和天皇が、ヨーロッパ外遊のときが、生涯の花だったと語ったことは、よく知られていることだと思っている。そのときの、パリの地下鉄の切符が残っているのは、とても興味深い。

映像資料として興味深かったのは、明治宮殿の内部の写真であるし、また、戦争の末期につかわれた御文庫の内部。終戦の聖断が下された場所である。今から10年ほど前の映像だったが、荒廃していた。これは、今はどうなっているのだろうか。

昭和天皇について語っていながら、現在の上皇さまについても、さりげなく触れている。そういえば、その軍服姿を見たことがない。

生物学者、博物学者としての、昭和天皇のことは、もっと知られていいことだと思っている。(以前は、伊勢の海の博物館に、昭和天皇が相模湾の調査のときに使った船が展示されていたのだが、これは、今はどうなっているだろうか。)

特攻ということに、ことさら気持ちを寄せていることは、そういうことなのだろうと思うが、ただ、日本の社会において、ことさらに特攻を美談として語ることには、私は反対である。しかし、その軍人たちの意志や気持ちは、最大限、尊重されなければならないとも思う。(また、他の、戦死者、民間の犠牲者についても、同様であるべきだが。)

毎回、見て思うのだが、特攻機がアメリカ軍の軍艦に突入していく様子が、カラーフィルムで記録されている。こういう記録を残していた、アメリカ軍は、やはりすごいとしかいいようがないと感じるところである。(他に適当な表現が思いうかばないのだが。)

昭和天皇が、自らの意志を明示して政治を動かすことになったのは、二・二六事件のときと、終戦のときと、言われている。それに加えて、昭和3年の田中義一内閣のときのことも、昭和の歴史を考えるうえでは重要なポイントになる。

加藤陽子の『昭和天皇と戦争の世紀』は読んだ本であるが、もう一回読んでみようかと思っている。

どうでもいいことだが、制度的な制約とはいえ、「平成天皇」とか「令和天皇」ということばを使うことが許されないのは、こういう時代のことを語るときに、なんとなく不自由である。見ながら、頭の中で、こっそりと変換して理解することになっている。

2026年3月31日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2026/04/02/9845680/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。