時をかけるテレビ「ドキュメント エルサレム」2024-05-10

2024年5月10日 當山日出夫

時をかけるテレビ ドキュメント エルサレム

二〇〇四年の放送である。時期的には、オスロ合意が破綻し、その後、ハマスが台頭する前のころ、ということになるだろうか。

まさに憎しみの連鎖という他はない。この点については、憎悪ではなく、ゆるすという方向にかじをきるしかないのだが、それがなかなか難しいのが現実である。

パレスチナ問題については、何をどう伝えるか、ということが重要だと思って、このところの報道など見ている。ハマスの側を全面的に支持する意見もあり、また一方で、それをテロリストと排除する立場もある。おそらくは、イスラエルの内部においても、パレスチナの人びとの内部でも、また、アラブの人びとの間でも、さまざまな意見や立場の相違があるはずである。それを、イスラエルとパレスチナの対立に単純化してしまわない方がいいだろう。

この番組を見て興味深かったのは、近代的な民族国家の概念がアラブのなかでどのように形成されてきたか、ということである。特にこのことに焦点をあてたということはなかったが、しかし、近代的な国民国家の理念はもともとアラブの人びとのなかにはなかったものであり、それが、イスラエルの建国と、それによるパレスチナ難民の発生、周辺のアラブ諸国の対応というながれのなかで、アラブの国家という考え方が出来ていったという理解になるのだろうか。そして、現在では、アラブの国家もいくつかあり、それらがお互いに仲よくするところもあり、対立するところもあり、という状況なのだろう。このあたりのことは、中東問題の専門家でないと、理解の及ばないところであろう。(たぶん、きちんとした理解を持っている人は、あまりテレビに登場して話しをしてくれないようだ。)

どうでもいいことだが、池上彰は、この番組ではかなり穏健な立場で発言している。これが、佐藤優との対談本などだと、かなり現実的な、あるいは、過激な発言もある。

2024年5月6日記

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