『おちょやん』あれこれ「絶対笑かしたる」2021-02-07

2021-02-07 當山日出夫(とうやまひでお)

『おちょやん』第9週「絶対笑かしたる」
https://www.nhk.or.jp/ochoyan/story/09/

前回は、
やまもも書斎記 2021年1月31日
『おちょやん』あれこれ「あんたにうちの何がわかんねん!」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/01/31/9342678

千代は、道頓堀にもどることになった。新しい劇団の立ち上げである。その座長になるのが、一平であった。この週は、新しい劇団の準備段階のこと。

この週で描いていたこととして、印象に残るのは、演劇、芸能の世界に生きる人びとの哀惜と矜恃であろうと思う。たしかに、役者という仕事は光のあたる仕事であるかもしれない。しかし、それをつづけていくには、様々な葛藤、苦労がある。新しい劇団をつくるにあたって、まず役者をあつめなければならない、そのなかで、何人かの役者たちの、悲哀とでもいうべきものが、しみじみと描かれていたと思う。

なかなか劇団に入ろうとしない千之助がそうである。また、女形の漆原もそうである。

一平は語る。新しい劇団では、女の役は女優がやることになる。女形はもう必要ない。ここで、一平と漆原は、厳しく対立することになる。

だが、結局は、新しい劇団がスタートすることになった。家庭劇である。しかし、一平も、また千代も、家庭というもののなかで育ってきたわけではない。これは、おそらく、その当時の他の役者たちも同じかもしれない。だが、ここで、あえて家庭劇という形で、新しい喜劇をつくろうとする。

その一方で、芝居茶屋の岡安の将来がどうなるか不安でもある。もう、芝居茶屋という業種が必要とはされなくなる時代になってきている。ライバルの福富は、芝居茶屋に見切りをつけて、商売替えをして、楽器店、それから、喫茶店に鞍替えしてしまっている。

時代背景としては、昭和の初め。不況のどんぞこの時代であるはず。このドラマでは、社会的背景のことはあまり描かないことのようだが、時代の流れととしては、昭和初期の不況から、日本の大陸進出へと大きく動いていくことになる。これから、戦争の時代がまっている。千代や一平たちは、これからどうなるのだろうか。

次週は、いよいよ新しい劇団がスタートするようだ。千代も女優として、道頓堀で再スタートになる。楽しみに見ることにしよう。

2021年2月6日記

追記 2021-02-14
この続きは、
やまもも書斎記 2021年2月14日
『おちょやん』あれこれ「役者辞めたらあかん!」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/02/14/9346969

コメント

_ お茶の水博士 ― 2021-02-07 05時42分56秒

福富の喫茶店が喫茶点になってました。

_ 當山日出夫 ― 2021-02-08 05時54分33秒

御指摘ありがとうございます。訂正しておきました。

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