「秘密結社KKK白い闇の正体~人はなぜ差別と暴力を?」2024-09-17

2024年9月17日 當山日出夫

ダークサイドミステリー 「秘密結社KKK白い闇の正体~人はなぜ差別と暴力を?」

テレビの番組表を見ていてたまたま見つけたので録画しておいて、見た。再放送だと思うのだが、最初の放送がいつのときのものなのか、NHKのHPでは分からない。それほど古いものではない。二〇〇一年のアメリカでの連邦議会乱入事件のときの映像が使ってあったので、少なくともそれからのことになる。

番組では、KKKの歴史をたどり、今では消滅したと言っていたのだが、本当なのだろうか。

たまたまになるが、アメリカの大統領選挙のこともあってだが、金成隆一の本を読んでみた。岩波新書の『ルポ トランプ王国』『ルポ トランプ王国 2』、それから『記者、ラストベルトに住む』である。このなかに、今のアメリカでのKKKを名乗る団体のことが出てくる。その集会に、金成隆一は出かけて行って取材している。今も、KKKを名乗る組織はアメリカにあって、活動を続けている。(それは、トランプ支持の人びとの一部ということになる。)

私がKKKのことを知ったのは、中学生のころだったろうか。確か子ども向けの漫画雑誌に載っていたかな、と憶えているのだが、さだかではない。その後、『風と共に去りぬ』を読んで、KKKが登場することを知った。(記憶では、映画の方を先に見ている。たしか渋谷の東急文化会館だった。学生のころである。新潮文庫の旧版の『風と共に去りぬ』を読み、近年になって、岩波文庫版と、新しい新潮文庫版が出たので、これは両方とも読んだ。)

KKKは、「映像の世紀」シリーズなどで、時々登場するのだが、その成立から現代にいたるまで、概論的にテレビであつかった番組は、あまり無かったように思う。

南北戦争後の最初期のKKKは、合衆国憲法を守っているのは自分たちであって、黒人奴隷を解放したのが間違っている……という見方は、歴史の流れのなかでは、そうなるのかと思う。その後、一九二〇年代、一九六〇年代と、KKKの活動は復活していくことになるが、その時代のアメリカ社会を背景にしたものであることは、確かである。このあたりの事情については、登場していた、渡辺靖(慶應SFC)が専門家として、冷静な分析を語っていた。

KKKは特殊な事例、ということではすまないかと思う。極端な白人至上主義は、影をひそめてきてはいるだろうが、昔のアメリカ社会をなつかしむ、キリスト教(特に、プロテスタント)の信仰を守る……こういう人たちは、決して少数派というわけではないことになる。その一つの表れが、今のアメリカにおける、トランプ支持の人々の多くが共有するところであると、理解しておくべきだろう。

2024年9月10日記

Asia Insight「急増する“新香港人”」2024-09-17

2024年9月17日 當山日出夫

Asia Insight 急増する“新香港人”

このごろ、香港がどんなふうになっているのか、民主化運動の弾圧後の様子は、あまりニュースなどで報じられることがない。

香港が返還されて、すっかり中国のものになったかと思っていたのだが、そういうことではないらしい。一応、(形式的なものかもしれないが)香港政府があり、自由に中国と行き来できるということではない。中国から香港に移住するには、かなり制限がある。香港からならば、海外にもビザなしで行くことのできる国が増える。

民主化運動の弾圧後、多くの人びとが香港から出て行った。数十万にのぼるようだ。それを埋めるために、中国本土から人を入れる必要がある。

香港に移住してくる中国本土からの人びとのことを取材したものであるが、香港のことよりも、むしろ、このことを通して見る中国の今の様子が興味深い。

よりよい収入と仕事を求めてやってくる人。子どもの教育のためにやってくる人。仕事がないからというので、土木作業に従事する人。どれも、おそらくは、今の中国の社会事情の一端を映し出していることになるのだろう。この番組を見る限りではあるが、中国の今の内部の事情は、かなり深刻なようだ。不況で仕事がない、あるいは、よりよい仕事を求めて国外に出る。無論、中国国内においても、少子高齢化は、これから避けてとおれない。これから、いったいどうなることだろうか。

中国の国内において、忘れ去られた、取りのこされた、と感じる人びとがこれから増えてくるのかもしれない。中国の経済の発展のために働いてきたが、それが報われていないと感じる人びとが、一定以上存在するようになると、どのような社会的な影響があるだろうか。(これから先のことは、あまり考えたくもないが。)

中国も香港も階級社会である。英語が話せなければならないし、話せたとしても、その英語のなまりで階級が分かる。

興味深かったのは、香港にやってきた母親のことば。子どもが幼稚園で、日本人は悪だと教えられたというので、中国の教育に見切りをつけたという。中国で行われている幼いころからの反日教育というべきものがあることになり、それが、かならずしもすべての中国の人たちに受け入れられているわけではない、ということでいいだろうか。

2024年9月11日記