日本アーカイブズ学会(2) ― 2008-04-30
2008/04/30 當山日出夫
日本アーカイブズ学会は、会員限定とか、事前申し込み必須、にはなっていないのがありがたい。より多くの人にひらかれた、オープンな学会として、活動を続けていってもらいたいものである。
2日目(4月20日・日)は、自由論題研究発表会、普通の(?)学会でいう研究発表である。会場が2箇所に分かれていたのだが、移動の時間とか、時間きっちりに終わって次の発表になならないだろう、というようなことを考えて、第2会場(北1号館401)に、いることにした。
第1会場の方では、研谷紀夫さんの発表とか、あるいは、平松晃一さんの「空間アーカイブズの提案」の発表など、興味深いものがあったが、時間の都合で聞けなかったのが残念。これらについては、論集を読んで、ということになる。GISが、各方面から注目されている。発表での「空間アーカイブズ」は、国土地理院のJPGISに準拠している。
その一方で、一般の人文学研究者用に、GT-TimeやGT-Map(人間文化研究機構)が開発されている。今後は、これらと連携した、既存のGISシステムとの、総合的な有効な活用が一番の課題であろう。
ところで、私のいた、第2会場の方。
最初の発表は、
鈴木宏宗さんの「国会図書館における上野図書館文書について」
図書館というと、一般には、本を架蔵し、利用者の閲覧に供するところ、というイメージで考える。だが、図書館も、ある組織として機能している以上、その業務のなかで、種々の文書が発生する。この発表は、かつての上野図書館が、現在の国会図書館に移管されるプロセスにおいて、どのような文書がつくられ、また、それらがどのような保管状況にあるかについて、発表したもの。
これは、最近のARGで話題になっている、図書館の閲覧記録の問題とも微妙に関係するかと思う。図書館が、どのような基準で、本を受け入れてきたか、また、どのような本が読まれてきたか……利用者個人のプライバシーに抵触しない範囲内において、これはこれで、きわめて貴重な、記録であるといえよう。
図書館というものも、また、一つの組織であり、文書を生み出すものであるという認識を新たにした。この意味では、文書館・資料館(アーカイブ)も同様である。アーカイブのアーカイブという、メタレベルのアーカイブを考える必要があるのでは、と思った(アーキビストの人たちにとっては、あたりまえのことであるのかもしれないが。)
當山日出夫(とうやまひでお)
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