文学館研究会とMLA2009-03-10

2009/03/10 當山日出夫

『ARG』の365号で知った。岡野裕行さんの文学館研究会。

文学館研究会
http://www.literarymuseum.net/

ブログ Literary Museum Studies
http://d.hatena.ne.jp/literarymuseum/

http://d.hatena.ne.jp/literarymuseum/20090126/p1

この岡野さんの文学館の件は、ARGの以前の号で知っていて、コメントしようと思いながら、時間がたってしまった。

私の言いたいのは、次の2点。

第一に、文学館というのは、「図書館」「博物館」「文書館・資料館」、いずれであるのか。とりあえず、法的な位置づけは別にして、文学館の設立・運営主体がどのように自己認識しているのか。図書館(ライブラリ)と、文書館(アーカイブズ)では、「本」のとりあつかいが異なる。ライブラリは、本のケースやカバーは取り除く。本を単体にする。しかし、アーカイブズでは、本のケースやカバーも残さなければならない。また、その作家の本棚が再構成できるように整理する必要がある。

このあたりが、文学館の今後について考えるポイントではなかろうか。

第二に、文学館と称するところより、もうすこし幅をひろげる方向があってもいいかと思う。例えば、兵庫県を見ると、「橋本忍」はあるが、「手塚治虫」はない。映画はふくめるが、マンガは別というのも一つの判断だとは思う。京都府では、京都国際マンガミュージアムは無い。ここでは、マンガのみならず、紙芝居も残そうとしている。

自分の子供の頃を思い出すと(歳がばれるが)、マンガ雑誌は、決してマンガだけで誌面を構成していたのではない。かなりの、読み物のページがあった。強いてサブカルチャーという枠組みを設定しなくても、マンガと文学は、日常生活のなかでつながっている。古い時代のことをいえば、「貸本屋」があり、そこには、「貸本」と同時に「貸本漫画」もあった。

文学館研究会が、できたばかりでここまで視野を広げるのは無理かと思う。また、マンガなどまでふくむとなると、旧態依然たる文学研究者の反感をまねくことにもなりかねねないだろう。

ここは慎重に、しかし、情報収集の網はひろげておいた方がいいように思う。

やや苦言めいたことを書いてしまったが、岡野さんの文学館研究については、賛辞を惜しまない。

當山日出夫(とうやまひでお)

コメント

_ 岡野裕行 ― 2009-03-10 23時12分03秒

當山先生

文学館研究会について言及していただき、ありがとうございます。
賞賛のお言葉をいただきまして、大変恐縮でございます。
ご指摘いただいた二つの疑問点につきましては、後日私のブログのほうで回答を致しますので、しばしお時間いただきたく存じます。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2009/03/10/4165282/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。