『和紙-近代和紙の誕生-』2016-06-14

2016-06-14

今、奈良国立博物館でやっている展示。
特別陳列『和紙-近代和紙の誕生-』(2016年6月7日-7月3日)

不勉強ながら……この展示を見るまで、「近代和紙」というものについて認識がなかった。主に日本の古典籍をあつかう勉強をしてきた人間として、不明をはじるしかない。

今回のこの展示から学ぶべき点は、次の三点であると私は考える。

第一に、和紙の生産というのが、明治以降の日本の近代産業のひとつであるという認識。大量生産が可能になって、輸出もされれている。タイプライター用紙など。

第二に、上記のことの再確認であるが、いわゆる和紙というものが前近代からの伝統産業であり、その時代のものを今にうけついでいるという、思い込みのようなものに気づくことである。いいかえれば、古いと思っていたものの新しい側面、とでもいおうか。

第三に、その中心的役割をはたしたのが、吉井源太という、高知県いの町の人物の存在。今回の展示は、吉井源太の功績を顕彰するものでもあると思う。

そして、さらにいうならば……現代の古文書・古典籍の修復事業のあり方についてである。

この展示、JADS(アート・ドキュメンテーション学会)が、奈良国立博物館で開催の時、ちょっと早い目に行って見てきた。一室だけの展示ではあるが、上記のようなあたらな発見をあたえてくれる。

高知県いの町 いの町紙の博物館 
http://kamihaku.com/

こんど機会があれば、是非とも行ってみたいものである。