BSスペシャル「叫ぶ声なく〜開高健が見たベトナム戦争〜」 ― 2026-09-01

2026年9月1日 當山日出夫

BSスペシャル「叫ぶ声なく〜開高健が見たベトナム戦争〜」

開高健については、いくつかの作品を読んだことはあるのだが、そうはっきりと憶えているということではない。ベトナム戦争と釣り、ということで、記憶にある作家である。

見ていて思ったこととしては、次のようなことである。

まず、ベトコン、と言っていた。NHKの番組で、ベトナム戦争をあつかうことは、ときどきあるのだが、このごろでは、ベトコンという用語を避けていると思っていた。だが、この番組では、どうどうと使っていた。

ただ、ベトコンの定義は、ややこしい。タテマエ上は、南ベトナムの人で、その政権とアメリカに批判的な立場をとる武装した人びと、ということになる。南ベトナムの正規軍ではない。また、北ベトナムの軍隊でもない(あくまでもタテマエとしては)、である。しかし、その背後には、北ベトナムがあって、さらに、その背後には、中共(あえてこの言い方をしておく)と、ソ連、があった。タテマエ上のことと、実質的にどのような人びとであったかということは、歴史の経緯もあって、そう簡単ではない。はっきりいって、よく分からないというのが、私の知識の限界である。

ともあれ、ベトコンという用語を使っていたことには、見ていて、少なからず驚いたというのが正直なところである。へ~、NHKでも、ベトコンということばを使うこともあるのか、と思った。

常識的な知識としては、ベトナム戦争は、アメリカと中共・ソ連との間の、資本主義勢力と共産主義勢力との代理戦争ということだと思っているのだが、こういうことについては、ほとんど触れることがなかった。常識的すぎることだからわざわざ言わなかったのか、今のベトナム戦争の理解として、こうなっているのか、どうなのだろうか。

日本とのことについても、あまり言及がなかった。ちょっとだけ、ベ平連、のことが出てきていた。この時代、沖縄は、まだアメリカの統治下にあって、そこを拠点として、アメリカ軍がベトナムを攻撃していた、ということになるのだが、これも、当たり前すぎることだから、言わなかったのか、どうなのだろうか。

左翼的な言い方をすれば、日帝資本主義は、アメリカの帝国主義の手先となって、ベトナムの人民を相手とする戦争に加担している、その日本政府は許せない、ということになる。これには、この時代、多くの人びとが共感したことでもあった。

公開処刑というようなことは、この時代、さして珍しいことではなかったはずである。だが、このことに、開高健がショックを受けたということは、これは開高健に関わることとしては、重要である。

それから、番組の趣旨とは無関係なことだが、とても興味深く思ったのが、ラストにホーチミンの街の映像が流れたときに、おそらくは視覚障害の人なのだろうが、白杖をもって行商をしている人物の姿が路上にあった。こういうことは、日本だとまず見ることはないはずである。ベトナムの人びとの生活の中では、こういう光景は普通なのだろうか。

2026年8月28日記

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