『ネット・バカ』(2)2010-10-14

2010-10-14 當山日出夫

結論からいえば、ある種の説得力のある本だな、という印象がある。

『ネット・バカ』.ニコラス・G・カー/篠儀直子(訳).青土社.2010

脳科学については、門外漢であるが、しかし、それでも、このデータの解釈はこれでいいのか? と、ところどころ感じさせるところがある。そのような点を割り引いて読んでいっても、全体としては、今の我々、というか、私というかの、生活が、「ネット・バカ」生活になりつつある、という感覚は、実感としてある。

以前にも書いたことかもしれないが、私は、モバイルでのコンピュータ利用はしない。ノートパソコンは持っているが、家を出ての、無線LAN通信などは、しないことにしている。(そのコストがあったら、ジャパンナレッジにでも、お金を使った方が、よっぽど自分のためになると判断する、ということもある。)

どうせ、自分の書斎にいる時は、目の前にコンピュータがある。WEBにつながっている。で、メールのチェックと、Twitterのチェックは、定期的に行うことになってしまう。となると、いっそ、家を出たときぐらは、解放されたい気分になる。少なくとも私の場合そうである。本を読もうと思って、パソコンの電源を落とすこともある。

このようなユーザは例外かもしれない。たぶん、私は、iPhoneを持たずに終わることになるだろう。自分の書斎を離れた時にまで、電子メールのチェックに追われたくはない。家にかえってからでも、十分に返信は間に合う。(今のところ、このペースで仕事がどうにかなっているというのは、幸いというべきであろう。)

また、本を読むのと、同内容を、ディスプレイで見るのとで、理解の程度とまではいかないにしても、読み方がが違ってきているな、とは感じることが多い。やはり、ディスプレイで見ると「F」の字のように読んでしまうと、自省する。

科学的な検証性とうい点では、いくぶん問題のある本ではあるかもしれない。しかし、これからの、電子書籍や、さらには、電子教科書というものを考えるときに、非常に示唆にとむ内容の本であることは確かである。

當山日出夫(とうやまひでお)