『ブログ論壇の誕生』(2)2009-01-29

2009/01/29 當山日出夫

いま、手元にある3冊の新書本。

佐々木俊尚.『ブログ論壇の誕生』(文春新書).文藝春秋.2008

三村忠史・倉又俊夫.『デジタルネイティブ-時代を変える若者たちの肖像-』(NHK生活人新書).日本放送出版協会.2009

後藤和智.『おまえが若者を語るな!』(角川oneテーマ21).角川書店.2008

世の中、確かにブログだらけ(?)だし、若者は、ケータイにインターネットを使いこなしている……かのように見える。「デジタルネイティブ」の若者たちが、「ブログ論壇」を形成して、次世代をになっていく、このようなイメージが見える。

だが、そんなことはないでしょう、という気も一方である。

単純に世代論で切るのではなく、社会全体を、モザイクとして見る視点が必要である。

自分が生きていくうえでの意志決定に、他の人の書いたブログ記事がそんなに重大ですか? 強いていえば、次の二つ、

・自分の意見と同じ立場のものを探し出してきて、ウン、ナルホド、自分と同じ考えの人がいる、と自己満足に終わる。

・自分とは異なる考えのブログを見て、自己の意見の修正をはかる。まちがいをただす。

たぶん、前者の方が、圧倒的に多いであろう。でなければ、毒にも薬にもならないような、日常茶飯事を読み流すだけ。

やはり、この意味では、次の本は、重要。すこし古いが、是非とも一読の価値がある。

キャス・サンスティーン/石川幸憲(訳).『インターネットは民主主義の敵か』.毎日新聞社.2003

ついでに、さらに手元にある最近の本として(昨日、買ってきた)、

西田宗千佳.『クラウド・コンピューティング-ウエブ2.0の次にくるもの-』(朝日新書).朝日新聞社.2009

林信行.『進化するグーグル-世界を掌握する”未来戦略”-』(青春新書).青春出版社.2009

當山日出夫(とうやまひでお)

CH81(4)2009-01-29

2009/01/29 當山日出夫

情報処理学会(人文科学とコンピュータ研究会)のつづき。

小特集ワークショップ、ディスカッションとなっているが、
(7)「知の集積と共有」の変革期に”じんもんこん”がなしうること
(8)討論「知の集積と共有」の変革期に”じんもんこん”がなしうること
ともに、後藤真・永崎研宣の両名。

さて、このコメントはむずかしい。このテーマについては、私は、かなりの程度で、当事者である、から。

とはいえ、基本的には、第一線からは隠居(引退ではない)気分。ここは、後藤さん・永崎さんのような、若い次世代の人たちに中心になってもらいたい。

「明窓浄机」(はてな)の方に書いておいたように、大学教育、また、人文学が、危機的状況にある。端的に言えば、昔のようにはもどせない、ではどうするか、デジタル技術による、人文学知の再構築しかない、であろう。この覚悟あるいは「あきらめ」のところからスタートするほかはない。

明窓浄机 2009-01-15
デジタルで人文学はどうなるか

会場で、永崎さんから、「標準化」についてどう思うか? と、集まった全員に問いかけがあった。私は、即座に、標準化についてはOKの挙手をした。たしかに、人文学においては、標準化、は難しい。あいつと違うことを、研究しているから、自分の研究価値がある、という世界なのであるから。

だから、一概に「標準化は無理」とすることはない。暗黙知としての共有するところがあるからこそ、自分は違う、と主張できる。そして、この暗黙知ほど、デジタルにそぐわないものはない。

しかし、もはや、われわれは、この認識(デジタル人文学への可能性)から、スタートする以外に選択肢はない。

當山日出夫(とうやまひでお)

ガリ版の文字2009-01-29

2009/01/29 當山日出夫

小形さん、どうもありがとうございます。さっそく確認しました。

こちらも、そろそろWSの準備をはじめないと。新しい京阪電車の「祇園四条駅」の表記は、確認しましたし、今、普通に見られる、京都の観光案内のパンフレットの表記なども、見てあります。それから、京都大学の大学案内。大学への交通として、「201系統 祇園百万遍行」と書いてありますので、その表記。これら、すべて「ネ氏」(許容三部首)。印刷標準字体は、いったいどこへ行ってしまったのか。

ところで、「moji」のHPですが、見ていて面白いと思ったのは、リンクをたどって、「もじもじカフェ」。

http://www.moji.gr.jp/cafe

このテーマをみていたら、「ガリ版文化と日本人」が目につきました。志村章子さん。

私の本棚(今の書斎)にある本では、

田村紀雄・志村章子.『ガリ版文化史-手づくりメディアの物語-』.新宿書房.1985(※この本、活版印刷)

志村章子.『ガリ版文化を歩く-謄写版の百年-』.新宿書房.1995(この本は、オフセット)

があります。ついでに、

二玄社(編).『ペン書法-附黒板・謄写版書法-』.二玄社.1958年(1981年の18刷 活版印刷)

を見ると、ガリ版用の各種書体が載っています。孔版明朝・孔版ゴシック、さらには、孔版夌線書体(「夌」は、第3水準、U+590C、1-15-71)などなど。

そういえば、プリントゴッコが無くなりましたねえ。年末のTVのCM風物詩だったのに。

當山日出夫(とうやまひでお)

『中央公論』大学の絶望2009-01-29

2009/01/29 當山日出夫

『中央公論』2009年2月号「特集:大学の絶望」、この本(雑誌)については、すでに、いろんなブログで言及がある。

こちらでは、さほど言及していないが、「明窓浄机」(はてな)の方に、感想など書いておいた。(これは、しばらく続く予定。「学者バカ」についても書いておきたい。)

明窓浄机
http://d.hatena.ne.jp/YAMAMOMO/

人文情報学(デジタル・ヒューマニティーズ)についても、参考になる点が多い。専門知を考えるとき、その前提として、「教養」についての考察が必要になる。これを、「デジタルネイティブ」という「世代論」でとらえてしまうことには、いささか問題があるというのが、私の立場。

特集部分の内容は以下のとおり、

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・竹内洋・鷲田清一(対談)「下流化した学問は復活するか」
・石田英敬「瀕死の「人文知」の再生のために-教養崩壊と情報革命の現場から-」
・鷲田小彌太「大学教授に冬来る、か? 〈少子化と制度革命がもたらしたもの〉」
・竹内薫「亡びゆく日本の理工教育 〈若手研究者を格差が襲う〉」
・石渡嶺司「広報戦略なき大学に未来なし 〈情報発信力の差がサバイバルの明暗を分ける〉」
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このなかでは、特に、石田英敬さん(東大)の論文が参考になる。

當山日出夫(とうやまひでお)