電子図書館の電子書籍2010-07-02

2010-07-02 當山日出夫

国立国会図書館は、納本制度がある。できた本は、一部、おさめることになっている。別に、国会図書館にかぎらず、公共図書館・大学図書館でも、電子書籍のうけいれはすすんでいくだろう。

ということは、それを読むための、装置(たとえば、iPadであり、Kindleであり、あるいは、普通のパソコンであり)が、必要ということになる。これからしばらく、電子書籍の動向がどうなるかわからないが、それにしても、わからないことを理由に、図書館が受入を拒むということはないだろう。利用者の要求があり、また、電子書籍にしかない内容の本がでてくれば、うけれざるをえない。

まずは、図書館には、どの程度の電子書籍の閲覧設備が必要になるのか。

次に、それは、どのように管理されるものなのか。通常の紙の本のようにはいかないにちがいない。

さらには、それを、どのように保存していくのか。図書館の目的として、電子図書の保存も重要な役目である。あるいは、電子図書専門の、それこそ、電子図書館をつくることになるのか。

実は、これらのことの先行きがまだ見えない、暗中模索、これから考えようというのが、意外と実情であるのかもしれない。このうちの「保存」ということ、このことにかんしていいえば、DVD版内村鑑三全集が、意外と、長持ちする可能性があるかと思っている。

第一に、コピープロテクトがかけていない。オリジナルのDVDがダメになっても、HDにコピーしてあるデータだけで、完全に機能する。コピーを複数つくっておけば、残すのは容易である。

第二に、基本のフォーマットを、PDFにしてあること。いろんな電子書籍の規格が乱立する情勢であるが、ひょっとすると、もっともシンプルであるPDFの規格が、一番のこる可能性がある。(これは、一般にデジタル文書の保存、ということとも関連するが。)

DVD版で、PDFで、パソコンで、……今の流れからすると、やや取り残されたに見えるDVD版内村鑑三全集であるが、視点を変えると、実は、もっとも堅実で、将来に残る方式であるのかもしれない。

それがどのような方向のものであるか。明日、みんなの意見をきいて考えてみたい。

當山日出夫(とうやまひでお)