NHKスペシャル「レアアース 覇権の正体を追う」 ― 2026-05-21
2026年5月21日 當山日出夫
NHKスペシャル「レアアース 覇権の正体を追う」
番組は国際政治をメインということではないので、「歴史の終わり」ということは言っていなかった。しかし、中国にレアアースの覇権を握られた背景には、冷戦終結後の感覚として、ソ連が崩壊して、これから世界が自由主義経済と民主主義の時代になっていけば、いずれ、中国も民主的な国家になって、世界の他の国々とうまくやっていくはずである……という思いこみが、まったく間違っていたということが、重要だろう。
それから、価格競争ということでいえば、人件費が安い国が有利ということはあるとしても、それよりも、環境問題に寛容(?)な国の方が、安くで製品を作れる、という打算があったことは、さらに重要である。
すこしぐらいは高くなるかもしれないが、製造過程で環境に配慮した製品であり、また、労働者の人権にも配慮したものである……いわば、国際ビジネスにおいて、フェアトレードの概念が広くゆきわたって、それが価値のあることとして、広く認識されるようになっていたら、という気もする。だが、これは、難しいことだっただろう。とにかく、価格の競争力が何よりもものをいう。それを、後から、環境問題だの、人権だのと、西欧先進国側から言いだしたとしても、手遅れである。
ただ、中国のレアアースをめぐる動きは、中国の影響力を強めることになるかもしれないが、同時に、世界中の国から警戒感をもたれる……はっきりいえば、嫌いな国とみなされる……ことになるのだが、まあ、中国はこんなことは、おりこみずみのことで、どんなに嫌われようがかまわないから、大国として世界に君臨したいということなのだろう。
人件費で国際競争力から中国が脱落するのは時間の問題であるとすると、環境問題をカードにするしかない。高くても環境問題をクリアした製品が世界で流通するとなるか、どうか。環境問題をクリアする、その先の研究開発に、中国がどうとりくんでいるのか、ということが、一番の問題かもしれない。
個人レベルでは、ちょっと値段の高いコーヒーとかチョコレートとかを選ぶことができる。(そもそも、コーヒーやチョコレートは、無くても生きていける。)だが、グローバリゼーションの競争の中で、こういう個人的趣味が、全体に影響を与えることができるか、これは、また別の問題である。
2026年5月18日記
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