NHKスペシャル「無言の証言者 原爆ドームが背負う“戦争”」 ― 2026-08-19
2026年8月19日 當山日出夫
NHKスペシャル「無言の証言者 原爆ドームが背負う“戦争”」
まず、私の思うこととしては、世界遺産になんかになってもならなくても、どっちだっていいじゃないか、と思う。それで、その価値(文化的であれ、歴史的であれ)が、特に変わることはない。
だが、原爆ドームを世界遺産にすることが、政治的な問題になることだった、ということ、これは、現代の歴史の一コマとして、知られていいことだと思う。
番組では、主にアメリカとの交渉がメインであった。原爆を使用した当事者なのだから、まずアメリカがどう考えるかということは、たしかに、考慮しなければならないことだろう。
中国は、距離をおいた立場をとっていた。明確に、反対とも、賛成とも、言わなかった。これはこれで、中国の、戦略的な立場だったことになる。
他の国は、このことをどう考えたのか。韓国はどうだったのか、台湾はどうだったのか、こういうことも気になるのだが、番組では、何も触れることはなかった。
原爆ドームというのは、歴史的な遺産として見た場合、非常に特殊な性質がある。本来ならば、そのままにして放置しておけば、自然に風化して、崩落して壊れていくものである。それを、原爆の被災のときのままを残して、つまり、その時点での壊れ方がどんなだったかを保存するという、非常にいりくんだ保存になる。
たとえば、さびた鉄を、さびをそれ以上進行させないで、そのままの状態で残すというのは、保存技術として、どういうことになっているのだろうか。
それから、より重要なことは、原爆ドームをめぐる、言説史ということがあるはずである。どういう経緯で、原爆被災の象徴として、人びとに意識されるようになったのか。長崎の浦上天主堂も、被災して壊れたのだが、これは、その状態を残すことなく、撤去されるということになった。
その他の、いろんな戦争にまつわるいろんな遺跡や、自然災害の遺跡など、どのようにして残しておくべきか、また、残したくないという気持ちになるのか、こういうことをふくめて、総合的に考えることも必要だろう。
2026年8月12日記
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