『若草物語』オルコット/麻生九美(訳)/光文社古典新訳文庫 ― 2023-07-03
2023年7月3日 當山日出夫

オルコット.麻生九美(訳).『若草物語』(光文社古典新訳文庫).光文社.2017
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334753634
駒井稔の『編集者の読書論』を読んだら、これを読みたくなったので手にした。
やまもも書斎記 2023年6月6日
『編集者の読書論』駒井稔/光文社新書
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2023/06/06/9592259
この作品のことは小さいときから知っている。小学生か中学生かのころに、翻案抄訳本を読んだだろうか。だいたいのことは知っている。しかし、きちんと読んでみるのは初めてになる。
読んで思うこととしては、読んで面白い作品だということである。なるほど、アメリカの南北戦争の時代に書かれた作品が、今にいたるまで読み継がれているのには、それなりのわけがあると理解される。
思うこととして、やはり次の二点がある。
第一には、古風な価値観。
今の価値観からすれば、保守的で古めかしい価値観の作品ではある。だが、これは、この作品が書かれた時代……アメリカの南北戦争の時代……ということを考えれば、そのような女性の生き方が考えられた時代があったと思うことになる。
このあたり、ある意味では、安心して読める作品ということになっているのかもしれない。
第二には、新しい女性。
そうはいっても、この作品に出てくる女性たちはたくましい。時代の流れのなかにあって、おかれた境遇のなかで、自分の生きる道を見出そうとしている。自分の才覚で生きていこうとする。特に、このことは、次女のジョーについて強く感じるところである。
時代の状況のなかにあって、新しい生き方を求める女性の姿、これがこの作品の魅力なのかとも思う。
以上のように、古風さと新しさを、この作品には感じ取ることができる。
そしてなによりも、この作品の根底にある人間観がいい。今のことばでいえば、ヒューマニズムといっていいだろうか。人間というものをあくまでも肯定的に見ている。また、その人間のあつまりのなかにおいて、人間性の最も善良な部分を描き出している。これが、今の時代の文学なら、人間性の邪悪な部分をえぐるような作品もあり得よう。しかし、そうなってはいない。あくまでも、人間というものを、よきものとして描いている。この人間観が、この作品の最大の魅力といっていいだろうか。
『若草物語』は、日本語訳のタイトルである。光文社古典新訳文庫は、新しい訳本を作るにあたって、それまでの翻訳タイトルを改めることが多い。しかし、この作品については、原題「LITTLE WOMEN」をそのまま日本語にすることはしていない。従来の『若草物語』を採用している。
この作品が、日本で長く読まれてきていることの理由の一つには、このタイトルの魅力もあるのだろうと思う。
2023年6月6日記
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334753634
駒井稔の『編集者の読書論』を読んだら、これを読みたくなったので手にした。
やまもも書斎記 2023年6月6日
『編集者の読書論』駒井稔/光文社新書
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2023/06/06/9592259
この作品のことは小さいときから知っている。小学生か中学生かのころに、翻案抄訳本を読んだだろうか。だいたいのことは知っている。しかし、きちんと読んでみるのは初めてになる。
読んで思うこととしては、読んで面白い作品だということである。なるほど、アメリカの南北戦争の時代に書かれた作品が、今にいたるまで読み継がれているのには、それなりのわけがあると理解される。
思うこととして、やはり次の二点がある。
第一には、古風な価値観。
今の価値観からすれば、保守的で古めかしい価値観の作品ではある。だが、これは、この作品が書かれた時代……アメリカの南北戦争の時代……ということを考えれば、そのような女性の生き方が考えられた時代があったと思うことになる。
このあたり、ある意味では、安心して読める作品ということになっているのかもしれない。
第二には、新しい女性。
そうはいっても、この作品に出てくる女性たちはたくましい。時代の流れのなかにあって、おかれた境遇のなかで、自分の生きる道を見出そうとしている。自分の才覚で生きていこうとする。特に、このことは、次女のジョーについて強く感じるところである。
時代の状況のなかにあって、新しい生き方を求める女性の姿、これがこの作品の魅力なのかとも思う。
以上のように、古風さと新しさを、この作品には感じ取ることができる。
そしてなによりも、この作品の根底にある人間観がいい。今のことばでいえば、ヒューマニズムといっていいだろうか。人間というものをあくまでも肯定的に見ている。また、その人間のあつまりのなかにおいて、人間性の最も善良な部分を描き出している。これが、今の時代の文学なら、人間性の邪悪な部分をえぐるような作品もあり得よう。しかし、そうなってはいない。あくまでも、人間というものを、よきものとして描いている。この人間観が、この作品の最大の魅力といっていいだろうか。
『若草物語』は、日本語訳のタイトルである。光文社古典新訳文庫は、新しい訳本を作るにあたって、それまでの翻訳タイトルを改めることが多い。しかし、この作品については、原題「LITTLE WOMEN」をそのまま日本語にすることはしていない。従来の『若草物語』を採用している。
この作品が、日本で長く読まれてきていることの理由の一つには、このタイトルの魅力もあるのだろうと思う。
2023年6月6日記
ブラタモリ「木曽三川」 ― 2023-07-03
2023年7月3日 當山日出夫
ブラタモリ 木曽三川
「木曽三川」ということばを始めて知ったというのが、正直なところである。その地域が、いくつかの川が一緒になる地域であるということは知っていたが、それがそのように総称され、歴史的にも由緒のある地域だとは、知らなかった。(たぶん、地理学の方面では、よく知られていることなのだろうとは思うが。)
「輪中」は知っていた。というか、昔、学校の教科書に出てきていたのを憶えている。だが、あんなに大規模なもので、独自の排水設備まで持っていたことは知らなかった。
断層とか、標高八メートルの山とか、いろいろと面白かった。
今から数十年前まで、戦後しばらくのころまで、「堀田」が普通に見られたという。今、我々が、イメージする、日本の稲作耕作の風景というのは、意外と新しいものなのだろうと思う。きちんと区画整理整理された水田、あるいは、山腹につくられた棚田などを思い浮かべるが、はたして、これらは、歴史的にどのようにして形成されたものなのだろうか。
日本の歴史を考えるとき、とにかくキーになるのが、米作である。米を基準に、主に弥生時代以降の日本文化を考えることもできよう。日本人はずっと米を作ってきたのだと。あるいは、そうではなく、漁業や林業、それから、商工業など、米作以外の生業にたずさわる人びとを考えることも重要である。これらをどう総合的に考えるべきなのか、今から勉強してみようという気にはならないのだが、ただ、興味関心としては持っている。
2023年7月2日記
ブラタモリ 木曽三川
「木曽三川」ということばを始めて知ったというのが、正直なところである。その地域が、いくつかの川が一緒になる地域であるということは知っていたが、それがそのように総称され、歴史的にも由緒のある地域だとは、知らなかった。(たぶん、地理学の方面では、よく知られていることなのだろうとは思うが。)
「輪中」は知っていた。というか、昔、学校の教科書に出てきていたのを憶えている。だが、あんなに大規模なもので、独自の排水設備まで持っていたことは知らなかった。
断層とか、標高八メートルの山とか、いろいろと面白かった。
今から数十年前まで、戦後しばらくのころまで、「堀田」が普通に見られたという。今、我々が、イメージする、日本の稲作耕作の風景というのは、意外と新しいものなのだろうと思う。きちんと区画整理整理された水田、あるいは、山腹につくられた棚田などを思い浮かべるが、はたして、これらは、歴史的にどのようにして形成されたものなのだろうか。
日本の歴史を考えるとき、とにかくキーになるのが、米作である。米を基準に、主に弥生時代以降の日本文化を考えることもできよう。日本人はずっと米を作ってきたのだと。あるいは、そうではなく、漁業や林業、それから、商工業など、米作以外の生業にたずさわる人びとを考えることも重要である。これらをどう総合的に考えるべきなのか、今から勉強してみようという気にはならないのだが、ただ、興味関心としては持っている。
2023年7月2日記
ドキュメント72時間「大病院の屋上庭園で」 ― 2023-07-03
2023年7月3日 當山日出夫
ドキュメント72時間 大病院の屋上庭園で
東京医科歯科大学にある屋上庭園が舞台。
病院だけに、登場するのは、病気の人あるいは医療関係者である。こういうのを見るといろいろ考えることが多くある。病気になって、人は何を思うのだろうか。
シロツメクサに寄ってくる蜜蜂に、都会のなかで、ふと自然のいとなみを見つける、そんなよろこびのシーンが印象的である。
得てして暗くなりがちな話題かもしれないが、最後にでてきていた(再登場)の子供の笑顔がよかった。病院には、やはり笑顔がふさわしいのかもしれない。
2023年7月2日記
ドキュメント72時間 大病院の屋上庭園で
東京医科歯科大学にある屋上庭園が舞台。
病院だけに、登場するのは、病気の人あるいは医療関係者である。こういうのを見るといろいろ考えることが多くある。病気になって、人は何を思うのだろうか。
シロツメクサに寄ってくる蜜蜂に、都会のなかで、ふと自然のいとなみを見つける、そんなよろこびのシーンが印象的である。
得てして暗くなりがちな話題かもしれないが、最後にでてきていた(再登場)の子供の笑顔がよかった。病院には、やはり笑顔がふさわしいのかもしれない。
2023年7月2日記
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