『スプートニクの恋人』村上春樹2019-04-15

2019-04-15 當山日出夫(とうやまひでお)

スプートニクの恋人

村上春樹.『スプートニクの恋人』(講談社文庫).講談社.2001 (講談社.1999)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000202189

『アフターダーク』の次に読んだ。だんだん、さかのぼって読んでいる。

やまもも書斎記 2019年4月13日
『アフターダーク』村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/13/9059054

これまでいくつかの村上春樹の作品(長編)を読んで来て、その特徴というべきものがつかめてきたような気がする。

第一には、散文詩、とでもいえばいいだろうか。あるシーンに、あるいは、全編にただよっている詩情である。

この『スプートニクの恋人』は、主に三人の登場人物である。ぼく、すみれ、ミュウ、この三人である。この三人をめぐる奇妙な恋の物語。そして、すみれの失踪。全体にわたってストーリーの展開の面白さがあるという作品ではない。主な三人の登場人物の不思議な関係がじっくりと描かれる。そして、場面はギリシャに移る。そのギリシャでの事件も謎に満ちているというよりも、ただ不可思議な事件が起こる……謎の失踪。

消えたすみれはどこにいったのか……向こう側の世界にである。

第二には、こちらの世界と向こうの世界、二つの世界が鏡像のように交錯する、奇妙な作品世界、とでもいおうか。といって、怪奇とかいうのではない。ただ、こちらの日常の世界が反転して、向こうの世界に、ふとはいりこんでしまう、そんな感じである。

この世界が反転する感覚、これこそ村上春樹文学の本質につながるものだろう。そして、この世界と向こうの世界をつなぐ回路になっているのが、夢である。村上春樹の文学は、夢の文学であるともいえるだろうか。

この次に読もうとおもっているのは、『国境の南、太陽の西』である。

追記 2019-04-18
この続きは、
やまもも書斎記 2019年4月18日
『国境の南、太陽の西』村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/18/9061185

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