『ブギウギ』「カカシみたいなワテ」2023-12-03

2023年12月3日 當山日出夫

『ブギウギ』第9週「カカシみたいなワテ」

朝ドラのなかで、国防婦人会ほど悪役はいない。これも今の時代の価値観からすると、そのような描き方になるのだろうが。ただ、歴史的に見れば、これは、それまで家庭の中に閉じ込められていた主婦たちが、おおっぴらに街頭に出て活動できる社会参加の嚆矢ともいうべきものであったことになる。現代の価値観からは、結果的に日本の戦争に協力するということにはなってしまったのだが。

時代は、昭和一五年のころである。日中戦争が泥沼化し、太平洋戦争の前という時代である。スズ子たちの舞台にも、警察の目が厳しくなってくる。三尺四方の枠からはみ出さずに歌うように指示される。

「蘇州夜曲」が流れていた。西条八十作詞、服部良一作曲の歌であるから、ドラマに登場してもおかしくはない。だが、「李香蘭」の名前は出てこなかった。この時代、「李香蘭」は、日中友好の象徴であった。それは、ある意味で架空の存在であったかもしれない。この名前を出すことは難しいのかとも思う。

この週で印象に残るのは、茨田りつ子である。警察に捉まっても、毅然としている。自分は歌手であるという自負が漲っている。ステージでの歌、「別れのブルース」も良かった。

おでんの屋台の伝蔵がいい雰囲気である。下宿の主人の夫婦といい、スズ子のまわりには、いい人がいる。大阪のはな湯でもそうだった。暗い世相を描きながら、見ていてちょっとほっとするのは、脇に出てくる市井の善良な人びとである。このようなところが、このドラマの良さを支えているのだと感じる。

2023年12月2日記

歴史探偵「白村江の戦い」2023-12-03

2023年12月3日 當山日出夫

歴史探偵 白村江の戦い

古代の日本と朝鮮半島の関係について、現在の時点で、妥当な落とし所で作った番組という印象である。

白村江の戦いについては、古代のヤマト政権の朝鮮半島への侵略ととらえることもできるだろう。一方で、古代において、日本と朝鮮半島の人びとは交流、交易があり、仲良くしていたという面を見ることもできるだろう。番組では、軍事的な侵略という面は出さないで作ってあった。これはこれで、一つの歴史の見方であるかと思う。

古代において、朝鮮半島の国、なかでも百済の国との関係は重要になる。いわゆる漢字の伝来ということも、『日本書紀』『古事記』などでは、百済の国からもたらされたと記載がある。(このようなことは、以前、大学で日本語の歴史を教えるときに、何度となく語ったことである。私の考えとしては、古代の朝鮮半島から漢字を使うことを職掌とする人びとが日本にわたってきて、日本で生活するようになったというふうに理解してきた。)

「白村江」であるが、私が昔習った歴史の授業では、「はくすきのえ」であったと記憶する。なお、「大化の改新」はこの名前で習った。「乙巳の変」という最近の言い方は、習った記憶がない。

ともあれ、古代において、朝鮮半島の人びととの交流の中で、日本の国の制度や文化が形成されてきたということは、きちんと確認しておく必要のあることだと思う。

2023年12月1日記