CH80(2)2008-10-22

2008/10/22 當山日出夫

CH80、情報処理学会・人文科学とコンピュータ研究会、の続き。

場所が、たざわこ芸術村、ここは、劇団「わらび座」の劇場があり、それに加えて、温泉があり、レストランがあり、いろんなお店があって、というところ。そのなかの施設の一つに、「DAF」(デジタル・アート・ファクトリー)もある。このDAFは、日本における、モーションキャプチャ研究の拠点の一つでもある。

というわけで、今回のCH80は、特にそう意図したわけでもないが、結果的に、モーションキャプチャ特集のような感じになってしまった。モーションキャプチャは、私の専門とはかけ離れている。だからこそ、出かけていった。自分の専門の領域であれば、論文を読めば理解できる。しかし、専門外のことになると、研究会などでの口頭発表を聴くのが、一番よくわかる。

いろんなモーションキャプチャの発表があった。そのなかで、私の印象に残っているものを一つだけ選ぶとするならば、

『舞踊教育における簡易式モーションキャプチャの有用性』.佐藤克美・安住洋子・海賀孝明・渡部信一

である。

一般的に、モーションキャプチャの装置・施設は、数千万ぐらいの投資が必要になる。工学式であれ、磁気式であれ。ところが、この発表で使用しているのは、たった2台の、普通のビデオカメラ。それと、処理用のソフト。

別の角度から撮影したそれぞれの映像データについて、各画像(フレーム)ごとに、体の測定位置に、手作業で、マークをつける。(従来の、工学式・磁気式は、このデータ取得を、自動的にやってしまう。)

手作業によるので時間はかかる。しかし、費用は各段に安くてすむ。また、特別の施設(建物など)を必要としない。民俗芸能などであれば、それが演じられる、その場所で、データが得られる。このメリットは、非常に大きいと、私は考える。

デメリットは、手作業で、マークをつけるのに時間がかかること。しかし、おおむね、人文学系研究者は、このような、手作業をいとわないものである。本を読んでひたすら用例をさがすなど、日常的である。一日、読んでも「無い」ことなど、ざらである。

この意味では、今後に、一番期待が持てるシステムではないかと思った。工学系の人たちは、エレガントにやりたいところだろうが、ひたすら手作業で、コツココツと、というのも、研究の一つの有りかたである。

當山日出夫(とうやまひでお)

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