『日本の思想』2011-06-09

2011-06-09 當山日出夫

もう今の学生には、ちょっと古くて、難解といえるだろう。しかし、読んでおくべき本だと思って、課題にしている。

丸山真男の『日本の思想』(岩波新書)の「思想のあり方について」。ここは、いわゆる「タコツボ」「ササラ」の類型によって、日本の思想・文化・社会を分析した文章。

わたしの学生(高校生・大学生)のころであれば、必読書であった。

いま、Googleで「タコツボ」で検索をかけると「丸山真男 タコツボ」が、独立した検索カテゴリとして設定してある。それぐらい、人口に膾炙している。あたりまえに使うようになっていることばである。しかし、そのオリジナルの文章がどのようなものであったかについては、意外と、読まれてはいないのかもしれない。おそらく、今の学生だと、ほうっておいて、自主的に読むということはないだろう。

ともあれ、学生にとっての「必読書」、たとえ、それが見栄であり、ある種の、知的虚栄心であっても、読んでおなければならない本、というのが、なくなってしまっている。

「もしドラ」は、確かに読まれているかもしれないが、学生としての必読書となるかというと、そうもいえないだろう。

他に読ませておくべき文章はたくさんある。だが、まずは、一世代前までの学生の「教養」を形成してきた文章として『日本の思想』をあつかってみることにする。

當山日出夫(とうやまひでお)