時をかけるテレビ「のぞみ5歳〜手さぐりの子育て日記〜」2024-04-18

2024年4月18日 當山日出夫

時をかけるテレビ のぞみ5歳〜手さぐりの子育て日記〜

この番組を見たという記憶はない。初めて見ることになる。

一九八六年、今から三八年前の番組である。率直に思うこととしては、ヒューマニズムにあふれた番組だな、ということである。

報道の特別番組などで、よく障害者のことが取りあげられることがある。これはこれとして、意味のあることだとは思う。しかし、そこで感じるのは、障害者だからとりあげているという意識がどこかにある。

この番組も、確かに障害者だからという部分があるのだが、見ていてそれを感じさせない。普遍的な、家族のあり方、親子の関係、というものを描いている。ここまで取材対象と、気持ちの交流を感じる番組は希であると言っていいだろう。

印象に残ったことがいくつかある。まず、この夫婦が結婚したいきさつが、視覚障害者の集団見合いであったということ。そんなことがあったのか、というのが正直な驚きである。さて、今はどうなっているのだろうか。ちょっと気になるところでもある。

それから、夫が故郷では障害を感じたことがないから自分は障害者ではない……ということを言っていた。障害者とは何であるのか、考えることばである。

牛乳をスーパーで買う場面。本当に牛乳を子どもが選んだのか、レジで教えてもらうとあったのだが、これも、最近のセルフレジ方式だと難しいことになるかもしれない。世の中の変化は、かならずしも障害者にとって便利な方向にばかり向かっているとはいえないのかとも思うのだが、どうだろうか。

親が子どもをしかって、子どもが外に出て行く。それを、母親……視覚障害である……が、追って行く。その様子を取材のカメラが追う。このような場面は、今の時代のドキュメンタリーの作り方としては、たぶん無理かもしれない。

どうでもいいことだが、妻が夫のことを「主人」と言っていたとき、字幕表示でもそのまま「主人」と使っていた。NHKの番組では、このような場合、発言のことばを変えてしまうことがある。「主人」と言っているのを「夫」と変えてしまう。この番組の場合、このような操作はしない方がいいと私は思う。その時代に、その人がどんなことばを使っていたかということも大切な情報であり記録である。

2024年4月17日記

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