「広重ぶるう」2024-04-30

2024年4月30日 當山日出夫

特集ドラマ 広重ぶるう

原作の小説は読んでいない。これは、テレビドラマとして見たことになる。

時々、NHKは松竹と組んで時代劇を作る。これもそのなかの一つということであろう。

主人公は、歌川広重。もとは武家であり、火消しであった。絵が好きで、それで生きていきたいと思う。その生涯をささえたのが、妻の加代。

広重は、ベロ藍を使って錦絵を描きたいと思う。ベロ藍は、プルシアンブルーのことだと思って見ていたのだが、それを日本で浮世絵に活用したのは、北斎である。広重も、ベロ藍を使って、空の色を表現したいと思う。広重が世に出るきっかけとなったのは、東海道五十三次である。

私は、浮世絵の歴史ということには、ほとんど知識がないので、まあこんなふうだったのかなあ、というぐらいの感覚で見ていた。

ところで、気になることとしては、東海道五十三次の浮世絵が人びとに愛好されたということの背景には、当時の人びと、そのなかでも、浮世絵を買うような人びとにとって、旅をするということが日常的なものになっていた、ということなのかもしれない。はたして、近世の庶民の旅についての実態と感覚はどのようなものだったのだろうか。

ジャンルは変わるが、「~~名所図会」という類の本も多く刊行されている。『都名所図会』『江戸名所図会』などは、その代表である。これらは、私の高校生のころ、角川文庫で刊行されていた。『都名所図会』は上下二巻だったと思う。これを見て、京都の町を歩いたのを憶えている。

「~~名所図会」というような本が刊行されるということは、それなりに需要があってのことにちがない。

ドラマとしては面白かった。主人公の広重の阿部サダヲがうまい。それから、妻の加代の優香がいい。特に、座敷で針仕事をしているシーンは、かなり凝って作った場面である。少し逆光になって髪の毛がきわだって見えるのは、工夫した映像かなと感じる。

プロの絵師になれば、自分の本当に描きたいものが描けるというわけではない、客に求められるものを描かなければならない、このあたりは、なるほどそういうものかと思って見たところである。

終わりのところで、雨の描写があった。さて、日本の絵画史において雨はどのように描かれてきたのか、これは興味のあるところである。(たぶん、研究はすでにあるのだろうと思うのだが。)比較的新しいところでは、石ノ森章太郎の「佐武と市」のなかに、雨の印象的な場面があったのを憶えている。

2024年3月28日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2024/04/30/9680116/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。