海の博物館に行ってきた ― 2017-02-18
2017-02-18 當山日出夫
海の博物館に行ってきた。
海の博物館
http://www.umihaku.com/
ニュースなどによると、この博物館、経営上の理由で、運営している公益財団法人から鳥羽市に売却されるとのこと。
久しぶりに行ってみたくなったのと、移管される前の状態の博物館を再度見ておきたくなったからである。この博物館には、10年ぐらい前になるだろうか、行ったことがある。その時の印象としては、ここはいい博物館だな、ということ、そして、民俗学を中心として、自然科学の各方面からの、調査研究を展示している、文理融合の博物館である、そのような印象をもった。
今回、再訪してみて、その印象を確認した。
印象深く思ったことをのべるならば、
第一には、上記のような、文理融合型の総合的な博物館であること。このような博物館としては、私の知っている限りだと、滋賀県にある琵琶湖博物館がある。
海で生活する、漁師や海女などの仕事、生活。それから、海の生態系。その民俗学的な研究、これらが、総合的に展示されている。しかも、基本は、その実物を残しておいて展示するという方法。海女のつかう道具などが、伊勢のみならず、日本各地の海女漁で使用するものが、その歴史的背景とともに、展示されている。とにかく、実物(もの)を残しておいて見せる。しかも、その視点が、民俗学のみならず、自然科学の観点にたって、海の生態系のなかで生きる人間のいとなみをしめすものとして展示してある。
第二には、その建築である。前回、行ったときには、その建物にはあまり目をくばらなかったが、今回、再訪してみて、その建築としてのすばらしさに注目した。
日本建築学会賞、公共建築百選、などに選ばれている。それぞれの建物もいいが、外に出て、数棟の建物にとりかこまれた中庭にたって、周りを見回してみると、その建築の作り出す空間美を感じる。鳥羽の海辺にある別世界という印象である。
博物館は、道路から坂道を下ったとことに海岸沿いに建ててある。直接、海に面してはいない。展示棟から出て、さらに少しくだったところに海岸がある。リアス式海岸の内側になる。波はおだやかである。すぐ近くに、対岸の陸地が、こんもりとした小さな山々のつらなりのように見える。
第三には、収蔵庫に入れるようになっている……この博物館の最大の展示といってよいであろう……船のコレクションである。日本の木製の船の実物が、巨大なコンクリートの建物の中に、ぎっしりと並んで収められている。その数は、100にも達するだろうか。また、周囲の壁には、櫂や櫓といった、船をあやつる道具が、数限りなくと感じるほど大量においてある。この収蔵庫の中にはいると、まずその迫力に圧倒されてしまう。
どの船も、実際に日本各地で、つい近年まで実際に使われていたものばかりである。船の構造も大きさも実に様々。沿岸漁業の漁に現実に使われていたものがコレクションしてある。
以上の三点が、今回、この博物館に行って、再度確認したこと、感じたことである。非常に素晴らしい展示であり、コレクションである。
今回、行ってみて、追加になっていると気付いた展示がある。それは、東日本大震災の時の、津波の映像記録が、動画像としてディスプレイで見られるようになっていた。
近年、東日本大震災のことは、その復興の現状については報道されることが多いが、当日(2011年3月11日)、どのようであったか、その津波の襲ってくる場面の映像記録は、テレビなどで、放映されることは基本的になくなっている。それが、この博物館では、津波の映像資料として、その当日に記録された映像が見られるようになっている。
これは、貴重な記録であり、展示であるということができよう。
今後、この博物館がどうなるか分からない。しかし、私としては、これまでの、そして、今の展示の方針を変えることなく、貴重なコレクションを守っていってほしいと願う次第である。
海の博物館に行ってきた。
海の博物館
http://www.umihaku.com/
ニュースなどによると、この博物館、経営上の理由で、運営している公益財団法人から鳥羽市に売却されるとのこと。
久しぶりに行ってみたくなったのと、移管される前の状態の博物館を再度見ておきたくなったからである。この博物館には、10年ぐらい前になるだろうか、行ったことがある。その時の印象としては、ここはいい博物館だな、ということ、そして、民俗学を中心として、自然科学の各方面からの、調査研究を展示している、文理融合の博物館である、そのような印象をもった。
今回、再訪してみて、その印象を確認した。
印象深く思ったことをのべるならば、
第一には、上記のような、文理融合型の総合的な博物館であること。このような博物館としては、私の知っている限りだと、滋賀県にある琵琶湖博物館がある。
海で生活する、漁師や海女などの仕事、生活。それから、海の生態系。その民俗学的な研究、これらが、総合的に展示されている。しかも、基本は、その実物を残しておいて展示するという方法。海女のつかう道具などが、伊勢のみならず、日本各地の海女漁で使用するものが、その歴史的背景とともに、展示されている。とにかく、実物(もの)を残しておいて見せる。しかも、その視点が、民俗学のみならず、自然科学の観点にたって、海の生態系のなかで生きる人間のいとなみをしめすものとして展示してある。
第二には、その建築である。前回、行ったときには、その建物にはあまり目をくばらなかったが、今回、再訪してみて、その建築としてのすばらしさに注目した。
日本建築学会賞、公共建築百選、などに選ばれている。それぞれの建物もいいが、外に出て、数棟の建物にとりかこまれた中庭にたって、周りを見回してみると、その建築の作り出す空間美を感じる。鳥羽の海辺にある別世界という印象である。
博物館は、道路から坂道を下ったとことに海岸沿いに建ててある。直接、海に面してはいない。展示棟から出て、さらに少しくだったところに海岸がある。リアス式海岸の内側になる。波はおだやかである。すぐ近くに、対岸の陸地が、こんもりとした小さな山々のつらなりのように見える。
第三には、収蔵庫に入れるようになっている……この博物館の最大の展示といってよいであろう……船のコレクションである。日本の木製の船の実物が、巨大なコンクリートの建物の中に、ぎっしりと並んで収められている。その数は、100にも達するだろうか。また、周囲の壁には、櫂や櫓といった、船をあやつる道具が、数限りなくと感じるほど大量においてある。この収蔵庫の中にはいると、まずその迫力に圧倒されてしまう。
どの船も、実際に日本各地で、つい近年まで実際に使われていたものばかりである。船の構造も大きさも実に様々。沿岸漁業の漁に現実に使われていたものがコレクションしてある。
以上の三点が、今回、この博物館に行って、再度確認したこと、感じたことである。非常に素晴らしい展示であり、コレクションである。
今回、行ってみて、追加になっていると気付いた展示がある。それは、東日本大震災の時の、津波の映像記録が、動画像としてディスプレイで見られるようになっていた。
近年、東日本大震災のことは、その復興の現状については報道されることが多いが、当日(2011年3月11日)、どのようであったか、その津波の襲ってくる場面の映像記録は、テレビなどで、放映されることは基本的になくなっている。それが、この博物館では、津波の映像資料として、その当日に記録された映像が見られるようになっている。
これは、貴重な記録であり、展示であるということができよう。
今後、この博物館がどうなるか分からない。しかし、私としては、これまでの、そして、今の展示の方針を変えることなく、貴重なコレクションを守っていってほしいと願う次第である。
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