CH87(3)2010-08-04

2010-08-04 當山日出夫

CH研究会の感想のつづきである。

竹田陽子さん、丸茂美恵子さん
情報技術支援によるフィードバック・ループの効果

要するに・・・MC(モーションキャプチャ)を使って、日本舞踊の学習にどのような効果があるか、ということの研究と理解した。MCについては、いろいろ研究会で発表をきくのだが、最近の傾向としては、自分の(あるいは他人の)動作をMCでとってみて、その画像を見て、自分自身の、たとえば舞踊などの学習にどのように影響・学習効果があるか、という方向からの研究発表が増えてきているような気がする。

これが以前であれば、ただ、人間の身体動作の測定、ということに主眼があったように思う。それが、MCという技術によって、自分の動作を客観的に計測してみて、そこから何を学びうるのか、何がわかるのか、という方向に変わってきているようである。

こういう話し、たしか、NHKの番組で、京都の職人の技の伝承をテーマに番組があったように記憶する。熟達した師匠と、若い弟子とで、どのように動作が違うか、機械的に測定してみる。そのことによって、技の伝承を、より効果的なものにしようというもの。

これら全体をとおして、やはり、MC技術と人間のかかわりにおいて、ちょうど転換点にきている。あるいは、それだけ、MC技術が進歩したということなのかもしれない。また、人間の側としても、自分自身の身体動作のコンピュータによる計測ということに、違和感を感じなくなっているということもあるだろう。

人間の感性とコンピュータとの関係において、面白い傾向だと思う。

浅水悠子さん、上村龍太郎さん
情報理論を応用したSOMによるメディアミックス作品と原作の作品分析

正直言って前半の理論的部分はよくわからない。(理工系で専門的すぎて)。ただ、後半の実際の作品の分析になると、なかなか面白かった。題材として、『地底探検』がとりあげられていた。その様々な映画化などにおいて、どのように、原作から離れ、あるいは、忠実であるのか、それを可視化して見せる。これは面白い。

ただ、あつかった素材が、『地底探検』であるのが、どうかな・・・という気がしなくもない。もうちょっと、いい題材がなかったか。また、この手法、日本の古典作品、特に、中世の御伽草子などにも応用がききそうである(このあたりのことは、質疑のときにも、フロアから指摘があったが。)

やはりこの種の研究は、基本となるアイデアの良さも必要だが、同時に、具体的にどの作品をあつかってみるか、というところで、非常に大きく説得力の違いが出るように思う。研究のチームが、良いパートナーを見つけられるか、逆に言えば、文学研究のような分野からいかに積極的にかかわっていくか、ということが、これからの課題ではないだろうか。

當山日出夫(とうやまひでお)

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