『青天を衝け』あれこれ「栄一の嫡男」2021-12-07

2021-12-07 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』第38回「栄一の嫡男」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/38/

前回は、
やまもも書斎記 2021年11月30日
『青天を衝け』あれこれ「栄一、あがく」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/11/30/9444241

久しぶりの家康の登場ではじまった。この回では、篤二と慶喜のことがメインだった。

第一に篤二のこと。

結果として、渋沢の家を継ぐことになるのは、その次の代の敬三ということになる。このことは、結果としては分かっていることではある。この意味では、篤二の役というのは、微妙なところがあるかと思う。栄一の影で、押しつぶされそうになり、そこから逃れるために遊蕩三昧にはしる。これは、まあいたしかたのないことであろうかと思う。

第二に慶喜のこと。

明治時代、東京になってから、江戸開府三〇〇年ということで式典があった。ここで、旧幕臣たちがつどうことになる。江戸の時代からつづくものとしての、東京であり、明治である、ということを印象づけるできごとである。

栄一は、慶喜の事跡を顕彰するための事業にのりだろそうとする。このあたりは、史実に基づいていることなので、そのとおりなのだろう。

ともあれ、徳川慶喜という人物は、これまで多くの幕末ドラマで登場してきているのだが、今一つ、どのようなことをなした人物なのか、判然としない感じがしてきている。あるいは、今日にいたるまで、その評価については、定まっていないというべきかもしれない。

以上の二点、篤二ことと、慶喜のことを軸に展開した回であった。

このドラマ、残る放送は、年内にあと三回になってしまっている。このまま、栄一の最晩年まで描くことになるらしいのだが、はたしてどうなることだろうか。

それから、伊藤博文が、日清戦争に勝ち、アジアの一等国になったといっていた。これが、世界の一等国の仲間入りをはたすのは、日露戦争の後ということなのだが、その戦争の結果のゆくすえは、後の太平洋戦争へとつながることになる。ただ、渋沢栄一は、日中戦争がはじまる、ちょうどその時期に亡くなっているので、日中戦争、太平洋戦争ということを見ずにすんでいる。

どうでもいいことかもしれないが、このドラマ、この頃の放送を見ていると、演出や脚本は細かな気配りがあると思うが、セットがどうにもショボい。日清戦争のことなど、いっそのことナレーションだけで済ませてしまった方がよかったかもしれないぐらいである。(やはり、ドラマのはじめの方で、血洗島の渋沢家と村のセットで、予算を使い果たしてしまったのだろうか。)

次回、日露戦争のときのことになるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2021年12月6日記

追記 2021年12月14日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年12月14日
『青天を衝け』あれこれ「栄一と戦争」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/14/9447855