『青天を衝け』あれこれ「栄一、海を越えて」2021-12-21

2021-12-21 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』第40回「栄一、海を越えて」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/40/

前回は、
やまもも書斎記 2021年12月14日
『青天を衝け』あれこれ「栄一と戦争」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/14/9447855

この回で描いていたのは、渋沢栄一の民間外交。

晩年の渋沢栄一は、日米の民間外交に尽力した。そのことは、知られていることだと思うが、さて、これは果たして成果があったというべきなのだろうか。いや、そのようなことよりも、渋沢栄一のような努力をはらう人物が、かつての日本には存在したということの方が重要なことであろう。

ただ、あえて批判的に見るならばであるが……渋沢栄一が日米の民間外交に力をつくしたのは、主に移民をめぐる問題においてであった。だが、なぜ、明治から大正の日本から、そんなに多くの移民がアメリカに渡ったのか、その歴史的背景についての描写がなかったのが恨まれる。日本から、アメリカ以外の国へも移民は行っているはずなのだが、なぜ、アメリカにおいて、大きな問題になったのか。ここのところの、日本における事情、アメリカにおける事情、それぞれについて、もう少し説明があった方がよかったのではないだろうか。これは、今日にもつながる、日本の対米感情、また、アメリカの対日感情の源泉でもあろう。ただ、勤勉な日本人が排斥されただけではなかったろう。(あるいは、あえてここのところについては、説明は避けるという方針であったのだろうか。)

この回で、徳川慶喜が亡くなる。大正の初めである。喜作も亡くなる。そして、いよいよ次週が最終回ということになる。徳川家康も出ていたが、最終回も登場するのだろうか。ともあれ、このドラマは、年初のスタートが少し遅れ、さらに、オリンピック、パラリンピックと中断もあった。それでも、どうにか、渋沢栄一の最晩年までを描いてきた。

近代の日本をドラマでどう描くか、いろいろと興味関心のあったところである。それに、こたえてくれるドラマになっていたかと思う。(まあ、その歴史観に批判がないわけではないが。)

最終回を楽しみに見ることにしよう。

2021年12月20日記

追記 2021年12月28日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年12月28日
『青天を衝け』あれこれ「青春はつづく」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/28/9451374