壬申調査から写真史へと2008-02-09

2008/02/09 當山日出夫

昨日、東京国立博物館での、明治初期の壬申調査について、触れた。その時、見た展示の解説は、手帳に書き写しておいたのだが、もしかして、と思って、インターネットで検索してみると、引用のHPがヒットした。

で、さらに、このURLからたどっていくと、

think-photo.net

というHPがあることがわかった。写真についての、かなり専門的なサイトである。その専門性の方向は、視覚芸術。写真論・写真史である。

ところで、先に言及した、佐藤守弘さんの文章は、

写真誌関連年表

http://www.think-photo.net/archive.html

というところにおさめられている。タイトルをながめると、以下のとおりである。

報告:東京国立博物館所蔵幕末明治写 真コレクションについて

『旧江戸城寫眞帖』(東京国立博物館所蔵、一八七一年)について

観光・写 真・ピクチャレスク 横浜写真における自然景観表象をめぐって

「武江年表」

「ピクトリアリズム考 カリフォルニアと日本」(付録:ピクトリアリズム関連年表)

「眞ヲ寫ス ─フォトグラフィと写 真のあいだに」

とあり、明治初期における、写真についての貴重な研究であることがわかる。

佐藤守弘さんは、自身でもブログを開設している。(中に、論文の書き方のコーナーもある、これは、今後の参考にしよう)。

洛中蒼猴軒日録 本日の記載は、京都精華大学

http://d.hatena.ne.jp/morohiro_s/20080208

ところで、写真については、写真史・写真論の専門の方向からのアプローチもある。その一方で、「視覚」という点から見れば、浮世絵や、名所図絵、洛中洛外図、などもふくめて考えてみたい。

「写真」というものを視野に入れて考えることで、「絵画」によって何を表現しようとしていたのか、よりはっきりとすることだろうと思う。この意味では、来月の、

京都 vs. 江戸 描かれた京都と江戸を読み解く

オーガナイザー  松本郁代(立命館大学)・出光佐千子(出光美術館)

主催 立命館大学グローバルCOE日本文化デジタル・ヒューマニティー拠点 「洛中洛外図屏風の総合的アーカイブと都市風俗の変遷」プロジェクト

2008年3月1日(土)~2日(日)

立命館大学アート・リサーチセンター 多目的ルーム

http://www.arc.ritsumei.ac.jp/

に期待してみたい。

當山日出夫(とうやまひでお)

デジタル化データの寿命2008-02-09

2008/02/09 當山日出夫

新聞のHPを見ていたら、朝日新聞の、Asahi.comで、DVDの寿命についての記事が出ていた。

DVDディスク、寿命に格差 数年から「永遠」まで http://www.asahi.com/business/update/0209/TKY200802090125.html

試験によると、数年で、ダメになるものもあるらしい。

DVDまたはCDの寿命=デジタル・データの寿命、とは必ずしもいえない。定期的に、コピー・バックアップをおこなえば、その寿命はのびる。しかし、その作業量は、データの増大とともに、どんどんふくらむ一方である。

あるものを残すためにデジタル化するのであるならば、データの長期保存(そのための、メディアの寿命、コピーやバックアップのシステム)、これも総合的に考えないといけないだろう。

おりしも、我が国においても、ようやくのところで、公文書の保存について行政が動き始めたところである。

なんのためのデジタル化保存であるのか、保存のための保存にとどまるのか、利用のための保存となるのか……長期的視野にたった展望が必要なときにきているように思う。

なお、私個人は、残すべきと思ったものは、CD-R、または、MO、で残すようにしている。どちらもそれほど残るものではないかもしれないが、まあ、個人のレベルでは、十分であろう。(私が生きてパソコンを操作できる間は、ぐらいの意味で。)

そういえば、今は無くなってしまった(撤退してしまった)コニカが、フィルムメーカであったころ。「100年プリント」で、経年劣化につよい写真をアピールしたことがあった。そのコニカは、ミノルタと一緒になって、今は、カメラ部門は、ソニーが引き継いでいる。そのデジカメ「α」で写した画像データの長期保存は、どうすればいいのか。(ちなみに、我が家の子供たちの小さいときの写真の多くは、コニカかコダックのフィルムで写してある。カメラは、もちろん、ニコン。)

デジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)が、資料のデジタル保存を前提になりたっているとするならば、見逃すことのできない課題である。

あるいは、いっそのこと発想をきりかえるか。有限の資源……保存できるデータ量には限界がある、この立場から、何を残すか、その選択の価値観を根本的に考え直してみるべきだろう。

當山日出夫(とうやまひでお)