辞書の〓2008-02-15

2008/02/15 當山日出夫

〓(ゲタ)の正体もそろそろ判明したようだ。

http://d.hatena.ne.jp/moroshigeki/20080214/1202993114

興味深いのは、辞書をひくとのっていること。手元において、つかっている、岩波国語(第6版)では、「げた」の項目に、「〓」の字(あるいは、記号)が、明記して説明してある。(『広辞苑』の新しいのは、まだ買っていない。というよりも、買う予定がない。)

この「〓」、もちろん、『JIS漢字字典』にものっている。

では、これは「文字」であろうか……となると、微妙な気がする。しかし、単なる「記号」かというと、これにも、やや抵抗を感じる。ひょっとすると、これは、活版での校正を経験したことのある人間に特有の感覚かもしれない。そうではない、今の若い人たちには、単なる「記号」だろう。

活版の校正段階において、「〓」は、そこに本来あるべき「文字」の仮の姿。したがって、なんらかの、「文字的性格」とでもいうべきものをふくんでいる。

「〓」は、活版印刷のなかでたまたま存在したにすぎない。手書き文字の世界には存在し得ない。今後、コンピュータ文字のなかで、どのような用法で使われていくのか、観察していきたい対象である。

ところで、最近、気のついたこと。

宮部みゆきの『模倣犯』の文庫(新潮文庫)と、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(光文社文庫)を、横に積んでならべると、ほぼ同じ高さになる。どちらを読むべきかという問題ではないけれど。

當山日出夫(とうやまひでお)

オリンパスE-3のレンズ修理2008-02-15

2008/02/15 當山日出夫

愛用の、オリンパスE-3、フォーカシングスクリーンを、方眼に交換した。帰ってきたのが先日。で、なんとなくオリンパスのHPを見ると、緊急の告知。ZUIKOの12-60ミリで、オートフォーカスの不良があるので、無償修理、とのこと。さっそく、ピックアップサービスに電話をかける。

というような状態で、あと1週間~10日ぐらいは、またまた、カメラが使えなくなってしまった。(古い、E-1があるし、14-54ミリもあるから、まあ、なんとかなるが。)

そういえば、新しく買ったばかりのE-3を持って、去年、岡崎(愛知県)の調査に行ったとき(これは国立国語研究所に協力)、時々、AFが作動しなくなって、困ったことがあった。京都の祇園を、写しに行ったときも、そう。

電源を入れ直したら、動いたが、やはり、これは、さっそく修理に出すしかない。

當山日出夫(とうやまひでお)

国立国語研究所のこと(1)2008-02-15

2008/02/15 當山日出夫

この問題、あえて触れずにそっとしておいた方が賢明であるのかもしれないが、日本語学(国語学)にかかわる者として、また、文字研究にたずさわる者として、みすごせないので、書く。また、これは、デジタル・アーカイブや、デジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)のゆくえとも、深く関連すると判断するので、書く。

まず、国立国語研究所は「廃止」ではなく大学共同利用機関への「移管」であること。したがって、組織全体としては、基本的に残る。だが、その移管にあたって、次のような条件がついている。

http://www.gyoukaku.go.jp/siryou/tokusyu/h191224/index_dokuhou.html

【日本語コーパス事業】

○民間事業者等との共同事業とすることについて平成20年度中に検討し、結論を得る。

【病院の言葉を分かりやすくするプロジェクト】

○平成20年度中に廃止する。

【外来語言い換え提案事業】

○平成20年度中に廃止する。

【日本語教育事業】

○他の公的日本語教育機関との役割見直し等を行い、事業の廃止を含め平成20年度中に検討し、結論を得る。

【漢字情報データベース事業】

○平成20年度中に廃止する。

【図書館事業】

○平成20年度中に廃止する。

このなかで見過ごせないのは、「コーパス」「漢字情報データベース」「図書館事業」についてである。

国語研のコーパス計画は、狭義の日本語学研究のみならず、情報処理の分野(言語処理)においても、きわめて注目されている。世界的レベルの水準にある事業であるといってよい。

漢字情報データベース、これを無くすとなると、今後の日本の言語政策はどうなるのか。たしかに、日本の言語政策それ自体をめぐっては様々に議論のあることろである。しかし、「新・常用漢字」が議論されようとしている現時点において、日本における漢字研究の中心的機関が必要であることは確かである。

図書館事業、インターネットによる蔵書検索が普及した現在、『国語年鑑』など不必要との見解もありうる。だが、だが、そのような時代であるからこそ、ある分野の図書・資料を、一箇所にまとめて保管し閲覧できる場所が必要である。これは、日本語学だけの問題に限らず、他の研究分野に影響がおよぶ。

さて、ここまで記した上で、さらに次のことを確認しておかねばならない。国立国語研究所の廃止問題について、インターネット上で、どのような言説があるか。

私の知る範囲で、この問題に積極的に発言しているのは、ひつじ書房の松本功さんだけ、である。また、このことに言及して支援しているのは、笠間書院だけ、である。

茗荷バレーで働く社長の日記

http://d.hatena.ne.jp/myougadani/20080215

笠間書院

http://kasamashoin.jp/2008/01/post_346.html

その他、いくつかブログでの発言は検索にひっかかるが、評するに値しない。

とりあえず、ここまでとする。つづきは、また。

當山日出夫(とうやまひでお)