WEBアーカイブと図書館2009-05-15

2009/05/15 當山日出夫

『「本」のメルマガ』を、購読している。その最新号の記事。

図書館の壁の穴 田圃兎
第26回 レファレンスサービスの転換

まず、雑誌のバックナンバーのオンライン公開の件が紹介。これはこれで興味深い。しかし、重要だと思うのは、次の箇所。部分的に引用する。地域の公共図書館の役割として、

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公共図書館には地域の情報を収集・保存する役目がある以上、地域の情報を発信している人のブログやホームページは把握しておきたい。そういった有益な地域情報サイトが、永続的に存在し続けるという保証がない場合には、図書館が丸ごと保存させてもらった方が良いかもしれないし、内容によっては、図書館がサーバーを提供しても良いのではないかと思っている。
地域の人々が情報を発信するための手助けも、図書館の仕事じゃないかと僕は思うので、サーバーの提供もそんなに無茶なこととは感じていない。

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強いていうならば、「MLA」のどれからもはずれたところに、今の、WEBのブログはある。これを「のこす」必要は無いのか。

このことについては、国会図書館レベルでの議論もある。がだ、一方で、地方の地域密着型の情報こそ、WEB(特にブログ)の中にある。

先日のアーカイブズ学会(学習院大学)でのこと。「アーカイブズ」のある人が、地域のために地域の情報をのこす、という意味の発言をしていたと記憶する。既存の、図書館・文書館・博物館の枠をこえて、地域のために、その地域の情報をのこしておく、このような発想にならないものだろうか。

アメリカのハーバード大学の、日本の憲法関係のWEBアーカイブなどとは別に、ローカルな視点から、そして、真にユーザの立場にたった、図書館・アーカイブズ、そして、WEBの、新たな関係の構築が重要であると思う。

「本」のメルマガ

http://archive.mag2.com/0000013315/index.html

http://www.honmaga.net/

當山日出夫(とうやまひでお)

ユーチューブは映像アーカイブか2009-05-15

2009/05/15 當山日出夫

日本映像学会(35回大会、名古屋大学)のHPを見て、ふと思ったこと。

開催趣旨に次のような記述がある。

http://www.jasias-chubu.org/35/outline.html

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私たちは現在,映像の未曾有の氾濫のなかに生きています.ニコニコ動画や YouTubeといった投稿サイトは,映画のパートやアニメーションはもとより,TV番組,CM からドキュメントまで,無尽蔵ともいえる映像のアーカイヴとなっています.

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ニコニコ動画、ユーチューブを、「映像アーカイブ」と称することには、私としては、ためらいがある。おそらく、基本的なアーカイブズ学の人は、もっと拒否感を示すだろう。すくなくとも「アーカイブズ」というからには、最低限、安定した長期保存ということが不可欠だと思う。

ただ、今回の学会、シンポジウムで、濱野智史さんと、大屋雄裕さんの、話しがある。これはこれで興味深い。

「アーカイブ」ということばの範囲がとめどもなくひろがっていく。私は、現在の日本のアーカイブズ学は、硬直した傾向にあるとは思っている。しかし、どのようなものを「アーカイブ」「デジタルアーカイブ」と言うのか、考えてみる必要は強く感じる。

當山日出夫(とうやまひでお)