『ARG』419号の感想2010-03-23

2010-03-23
當山日出夫

今回の号で、4988部、もうちょっと。

で、今回のインタビュー。

国立国会図書館若手連続インタビュー(7)
  「一人ひとりが考えるしかない国立国会図書館の未来-白石啓さん」

気づいた箇所を引用すると

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◆-白石:
館長と職員のバックグラウンドの違いによる隔たりを感じます。
職員は、ずっと図書館というある意味「閉じた」世界で業務やサービスを考え
てきました。しかし、人手による目録や、レファレンスサービスの実績、蓄積
もあるので、これまでの業務に対する自信やプライドは当然あります。これま
での蓄積に重きを置いて考えます。
情報処理分野の研究成果の取り入れや、新しいサービスや業務を実現すること
については、隔たりが大きいと思います。長尾館長が構想されている事柄があ
っても、実際の現場のサービスの継続性や時期等を考えると、いまはやるべき
でないという意見もある。そういった現場の声を、もっと館長にもあげていく
べきだと思います。

◆-白石:
結局、国立国会図書館を今後どうしていくかは、国立国会図書館の職員が考え
るしかないんです。もちろん、館長も含めて。館長はさまざまな場所でご自身
の考えをお話しされていますが、それは極端に言えば数ある意見の一つに過ぎ
ないわけです。もちろん館長の言葉であるという重さはありますが。ただ、そ
こで館長の言葉というところによりかかるのではなく、「国立国会図書館の職
員として、国立国会図書館をこうしていきたい、だから、館長のその意見は違
うと思う」くらい、堂々と館長と議論ができるように、館長以外の職員も我々
の将来を真剣に考えていかなければいけないと思っています。

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であろうか。これらの発言の後にも、興味深い内容が語られるのだが、特に今回は、
『電子図書館』(新装版)、長尾真、岩波書店、2010
の刊行をうけて、特に上記の箇所が目がとまった。

よくもわるくも、これから、『電子図書館』(長尾真)が、国立国会図書館の一つの「顔」になっていくであろう。そのながれのなかで、個々の図書館員のひとたちが、どう考えているのか、自由闊達に意見交換できる雰囲気であるのかどうか、これが非常に重要だと思う。

先に『電子図書館』にあるのは「といかけ」である。「こたえ」ではない。という意味のことを書いた。この「といかけ」に、どれほどの館員が、こたえていくことができるのかが、これからの、国会図書館のありかたを決めていくかぎになるであろう。

このARGの一連の国会図書館のインタビューを見ていても、全体に、風通しの良い組織であることが理解される。今後に期待したいと思っている。

當山日出夫(とうやまひでお)

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