『おんな城主直虎』あれこれ「恩賞の彼方に」2017-10-31

2017-10-31 當山日出夫(とうやまひでお)

『おんな城主直虎』第43回「恩賞の彼方に」
http://www.nhk.or.jp/naotora/story/story43/

前回は、
やまもも書斎記 2017年10月24日
『おんな城主直虎』あれこれ「長篠に立てる柵」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/10/24/8711592

この週もまた、万千代と直虎のよってたつところ、生き方の違いが明瞭になった回であった。

万千代は、徳川家康のもとでの出世を夢みる。そのためには、井伊谷を利用している。いや、利用できるものとしてしか井伊谷を見ていない。前回は、長篠の戦いに使うための木材の調達。今回は、家康に献上するための薬草。とにかく、自分の出世のためになら、井伊谷を使えるだけ使おうという発想のようである。しかし、井伊谷に対するパトリオティズム(愛郷心)は、感じられない。

一方、直虎(おとわ)は、井伊谷へのパトリオティズム(愛郷心)だけで生きているかのごとくである。名目上、近藤の支配下にあるとはいっても、どうやら、井伊谷の統治の実権は、直虎(おとわ)が握っているようだ。そして、その直虎(おとわ)が心がけていることは、井伊谷の土地と人びとが安寧にすごせるように、ということである。もはや、井伊の家の名前にこだわりはもっていない。井伊谷が将来、だれが治めることになっても、好い土地であることをねがっている。

ところで、今回、長篠の戦いに用立てるために山林を伐採したことが問題になっていた。それが原因で、雨が降って山崩れがおこる。それへの対応策として、植林することになる。

このような山林の管理……伐採とか植林とか……これは、中世、戦国時代、どのような権利として存在したのだろうか。その土地の領主に全面的に権限があったのだろうか。それとも、山林の管理については、別途、特別な管轄権とでもいうべきものがあったのだろうか。その権限は、領主に属するものなのか、あるいは、領民に属するものなのか。このあたりが、どうも、あいまいであった。

勝手に伐採することも問題だろうが、また、自由に植林することも問題ではなかろうか。現在の日本史学の分野では、このことがどのように捉えられているのだろうか。ちょっと気になったところである。

そして、今回は、ネコ和尚にだかれてネコが登場していた。アップで顔が映っていた。ネコが登場すると、なにかしらほっとする。次回も出てくるだろうか。
追記 2017-11-07

この続きは、
やまもも書斎記 2017年11月7日
『おんな城主直虎』あれこれ「井伊谷のばら」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/11/07/8722480