「ふたりのウルトラマン」 ― 2022-05-06
2022年5月6日 當山日出夫(とうやまひでお)
NHK ふたりのウルトラマン
https://www.nhk.jp/p/ts/PN3P16XW6Y/
私は、一九五五年(昭和三〇)の生まれであるので、ちょうど放送のときテレビで見ていた世代になる。(ただ、その当時は白黒のテレビだったが。)
ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン……これらは、ほとんど見てただろう。
だが、それをどう解釈するか、どのような意味があるかということは、小さいときには、考えもしなかった。それを考えてみるようになったのは、学生をすぎてからのことになる。
たしか、佐藤健志の本を読んでだったと憶えている。このあたり記憶で書いているので、どう不確かなのであるが。このように解釈していたかと思う。怪獣=ソ連、科学特捜隊=自衛隊、ウルトラマン=米軍……このような図式であった。東西冷戦の時代である。もし、共産党軍が日本に攻めてくるようなことがあったとして、自衛隊では防ぎきれない、それを助けてくれるのが、アメリカの軍隊である。
さて、このような解釈が正しいかどうか、今となっては、ちょっと割り切りすぎているような気もする。しかし、まったく的外れではないようにも思える。
とはいえ、ウルトラマンがある時代に生まれた作品であり、その時代のなかでどのように捕らえることができるのか、これはこれとして興味深い視点である。
ウルトラマンの製作に、金城哲夫という人物が関わったこと、そして、金城は沖縄の出身であることも、確か佐藤健志の本で知ったことである。
また、その監督をつとめた実相寺昭雄の名前を知ったのは、学生になってからのことだったろうか。子どものときは、なんとも思わずにみていたドラマであるが、しかし、思い出してみると、実に斬新な映像の演出であったと、記憶の片隅にある。
ところで、NHKのドラマである。沖縄復帰五〇年ということで作られたドラマである。そう思ってみることになるせいだろうが、確かに、ウルトラマンには、沖縄が影を落としている。かつて独立国であった琉球は、沖縄県として日本の支配下にはいり、戦後アメリカのもとにあった。そして、東西冷戦の時代であり、沖縄にはアメリカ軍が駐留している。このような時代背景を、いろんな意味で反映したところに、ウルトラマンの誕生があったことになる。
なぜウルトラマンは、地究にやってきて人類を助けるのか。どこからやってきたのか。そして、怪獣はなぜ、人類を襲うことになるのか。ただの特撮娯楽番組とはいいきれない、複雑な問題をそこに見出すことができる。
番組を見て思ったこととして、ウルトラマンは、ニライカナイの海の向こうからやってきた神であるのか……なるほど、このような解釈もできるのかと思った。番組中では、折口の名前がちょっと出てきていたが、ここは、折口信夫の説を解説するところがあってよかったようにも思える。
沖縄復帰五〇年の番組としては、異色の作品であると思うが、見ていろいろと考えるところがあった。
2022年5月5日記
NHK ふたりのウルトラマン
https://www.nhk.jp/p/ts/PN3P16XW6Y/
私は、一九五五年(昭和三〇)の生まれであるので、ちょうど放送のときテレビで見ていた世代になる。(ただ、その当時は白黒のテレビだったが。)
ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン……これらは、ほとんど見てただろう。
だが、それをどう解釈するか、どのような意味があるかということは、小さいときには、考えもしなかった。それを考えてみるようになったのは、学生をすぎてからのことになる。
たしか、佐藤健志の本を読んでだったと憶えている。このあたり記憶で書いているので、どう不確かなのであるが。このように解釈していたかと思う。怪獣=ソ連、科学特捜隊=自衛隊、ウルトラマン=米軍……このような図式であった。東西冷戦の時代である。もし、共産党軍が日本に攻めてくるようなことがあったとして、自衛隊では防ぎきれない、それを助けてくれるのが、アメリカの軍隊である。
さて、このような解釈が正しいかどうか、今となっては、ちょっと割り切りすぎているような気もする。しかし、まったく的外れではないようにも思える。
とはいえ、ウルトラマンがある時代に生まれた作品であり、その時代のなかでどのように捕らえることができるのか、これはこれとして興味深い視点である。
ウルトラマンの製作に、金城哲夫という人物が関わったこと、そして、金城は沖縄の出身であることも、確か佐藤健志の本で知ったことである。
また、その監督をつとめた実相寺昭雄の名前を知ったのは、学生になってからのことだったろうか。子どものときは、なんとも思わずにみていたドラマであるが、しかし、思い出してみると、実に斬新な映像の演出であったと、記憶の片隅にある。
ところで、NHKのドラマである。沖縄復帰五〇年ということで作られたドラマである。そう思ってみることになるせいだろうが、確かに、ウルトラマンには、沖縄が影を落としている。かつて独立国であった琉球は、沖縄県として日本の支配下にはいり、戦後アメリカのもとにあった。そして、東西冷戦の時代であり、沖縄にはアメリカ軍が駐留している。このような時代背景を、いろんな意味で反映したところに、ウルトラマンの誕生があったことになる。
なぜウルトラマンは、地究にやってきて人類を助けるのか。どこからやってきたのか。そして、怪獣はなぜ、人類を襲うことになるのか。ただの特撮娯楽番組とはいいきれない、複雑な問題をそこに見出すことができる。
番組を見て思ったこととして、ウルトラマンは、ニライカナイの海の向こうからやってきた神であるのか……なるほど、このような解釈もできるのかと思った。番組中では、折口の名前がちょっと出てきていたが、ここは、折口信夫の説を解説するところがあってよかったようにも思える。
沖縄復帰五〇年の番組としては、異色の作品であると思うが、見ていろいろと考えるところがあった。
2022年5月5日記
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