100分de名著「トーマス・マン“魔の山” (3)死への共感」2024-05-25

2024年5月25日 當山日出夫

100分de名著 トーマス・マン“魔の山” (3)死への共感

この回まで見て、『魔の山』を読みかえしてみたくなった。が、どの本で読むか。無論、ドイツ語では読めないので日本語訳でということになる。一番、手に入りやすいのは、新潮文庫版である。高橋義孝訳で、少し古いかなという気がする。『魔の山』など、光文社古典新訳文庫で新しい訳を出してほしい作品の一つである。

トーマス・マンについては、よくその政治性が語られる。ナチスへの反対者というイメージで語られることが多い。私は、文学に政治をからめて論じることは、あまり好きではないのだが、しかし、人間というものがなんらかの形では政治とかかわらずには生きていけないものである、という認識ではいる。

雪の遭難のシーンは、以前に読んだときのこととして記憶にあるのだが、あまり意に介せずに読んでしまった。言われてみれば、夢に託して何かを語るということは、まさに、この時代ならではのことであったということになる。

2024年5月24日記