ドキュメント20min.「ひさしとひさし。」 ― 2024-05-30
2024年5月30日 當山日出夫
ドキュメント20min. ひさしとひさし。
これは面白かった。テレビという既存のメディアのなかでどんなことができるのか、非常に挑戦的なこころみの一つである。
もう何十年も前のことになるが、ある事情で井上ひさしの直筆の葉書を目にする機会があった。現代文学について書いたものだったが……いわゆる純文学と大衆文学を区別して考えるのは間違っている、といような内容であったと記憶する。
井上ひさしは、私の学生のころから、同時代の作家として親しんできた。思い返せば、子どものときに、「ひょっこりひょうたん島」を見ていたとき以来ということになるが、しかし、その作者が井上ひさしであることを知ったのは、学生になってからだったろうか。
番組のなかで出てきた、『おれたちと大砲』『手鎖心中』『吉里吉里人』などは、記憶にある。
井上ひさしが書いたものがどれぐらいあるのか、その全貌がまだ分からないというのも、興味深い。近現代文学研究において著作の一覧と書誌の作成という基本のことになる。
遅筆堂文庫に所蔵されている蔵書とその書き込みは興味深い。辞書は読むものである、ということを実践していたことが分かる。
どうでもいいことだが、書斎の机の上においてあった万年筆は、ペリカンの#500だろうか。
一方、井上ひさしのことをあつかった番組をつくるのに、井上恒という人の人生と重ねて劇仕立てで見せるというのは、とても面白い。まさに、井上ひさしの戯曲という感じであった。
番組の最後の方で、井上恒が、後に何も残らなくてもいい、という意味のことを語っていたのが印象に残る。
井上ひさしの作品を久々に読みなおしてみたくなった。
2024年5月28日記
ドキュメント20min. ひさしとひさし。
これは面白かった。テレビという既存のメディアのなかでどんなことができるのか、非常に挑戦的なこころみの一つである。
もう何十年も前のことになるが、ある事情で井上ひさしの直筆の葉書を目にする機会があった。現代文学について書いたものだったが……いわゆる純文学と大衆文学を区別して考えるのは間違っている、といような内容であったと記憶する。
井上ひさしは、私の学生のころから、同時代の作家として親しんできた。思い返せば、子どものときに、「ひょっこりひょうたん島」を見ていたとき以来ということになるが、しかし、その作者が井上ひさしであることを知ったのは、学生になってからだったろうか。
番組のなかで出てきた、『おれたちと大砲』『手鎖心中』『吉里吉里人』などは、記憶にある。
井上ひさしが書いたものがどれぐらいあるのか、その全貌がまだ分からないというのも、興味深い。近現代文学研究において著作の一覧と書誌の作成という基本のことになる。
遅筆堂文庫に所蔵されている蔵書とその書き込みは興味深い。辞書は読むものである、ということを実践していたことが分かる。
どうでもいいことだが、書斎の机の上においてあった万年筆は、ペリカンの#500だろうか。
一方、井上ひさしのことをあつかった番組をつくるのに、井上恒という人の人生と重ねて劇仕立てで見せるというのは、とても面白い。まさに、井上ひさしの戯曲という感じであった。
番組の最後の方で、井上恒が、後に何も残らなくてもいい、という意味のことを語っていたのが印象に残る。
井上ひさしの作品を久々に読みなおしてみたくなった。
2024年5月28日記
「ピース5歳〜日本初 ホッキョクグマ哺育物語〜」 ― 2024-05-30
2024年5月30日 當山日出夫
時をかけるテレビ ピース5歳〜日本初 ホッキョクグマ哺育物語〜
NHKの動物が登場する番組で、私が一番好きなのは、「ウチのどうぶつえん」である。金曜日の夕方、Eテレでやっている、短い番組である。動物園の人たちが撮った映像を編集して見せるということになっている。飼育員ならではの視点、あるいは、動物に対する接し方など、いろいろと考えるところがある。それから、「ザ・バックヤード」でも時々、動物園が取りあげられることがあるが、これも面白い。
そもそも動物園というものは、人間の身勝手で作ったものなので……という議論はあっていいと思う。だが、そこで現に生きている動物たちのことをどうするか、という発想も同時にあってしかるべきである。
この番組で感じることは、一つには、動物にどうつきあっていくかということの、現代の動物園の試行錯誤の一つとみることもできるが、それよりも、最も印象に残るのは、飼育員のホッキョクグマのピースに対する愛情である。人間は、これだけ愛情を持って動物と接することができるのか、その部分が感動的である。そして、この動物に対する愛情は、広く普遍性をもっている。人間が生きものを育てるというのはこういうことなのか、と再認識させられるところがある。無論、これは、人間にとっての赤ちゃんの子育てをふくめてのことである。
ともかく理屈はどうでも、小さいときのピースが可愛い。そして、現在、もう年取ったピースを見つめる飼育員の高市さんと、それを見つめかえすピースの姿になんともいえないものを感じる。(ただ、動物の姿にあまり感情移入することはよくないことなのかとも思うのだが。)
まさに今の時代にもう一度ふり返って見るのにふさわしい番組だったと思う。
2024年5月27日記
時をかけるテレビ ピース5歳〜日本初 ホッキョクグマ哺育物語〜
NHKの動物が登場する番組で、私が一番好きなのは、「ウチのどうぶつえん」である。金曜日の夕方、Eテレでやっている、短い番組である。動物園の人たちが撮った映像を編集して見せるということになっている。飼育員ならではの視点、あるいは、動物に対する接し方など、いろいろと考えるところがある。それから、「ザ・バックヤード」でも時々、動物園が取りあげられることがあるが、これも面白い。
そもそも動物園というものは、人間の身勝手で作ったものなので……という議論はあっていいと思う。だが、そこで現に生きている動物たちのことをどうするか、という発想も同時にあってしかるべきである。
この番組で感じることは、一つには、動物にどうつきあっていくかということの、現代の動物園の試行錯誤の一つとみることもできるが、それよりも、最も印象に残るのは、飼育員のホッキョクグマのピースに対する愛情である。人間は、これだけ愛情を持って動物と接することができるのか、その部分が感動的である。そして、この動物に対する愛情は、広く普遍性をもっている。人間が生きものを育てるというのはこういうことなのか、と再認識させられるところがある。無論、これは、人間にとっての赤ちゃんの子育てをふくめてのことである。
ともかく理屈はどうでも、小さいときのピースが可愛い。そして、現在、もう年取ったピースを見つめる飼育員の高市さんと、それを見つめかえすピースの姿になんともいえないものを感じる。(ただ、動物の姿にあまり感情移入することはよくないことなのかとも思うのだが。)
まさに今の時代にもう一度ふり返って見るのにふさわしい番組だったと思う。
2024年5月27日記
最近のコメント