『現代思想の遭難者たち』2016-05-22

2016-05-22 當山日出夫

いろんなマンガが文庫になっているが、この本もついに文庫になったか、しかも、講談社学術文庫。

いしいひさいち.『現代思想の遭難者たち』(講談社学術文庫).講談社.2016

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062923644&_ga=1.201477649.1867401113.1463871198

この本、かなり売れているらしい。もとは、講談社の『現代思想の冒険者たち』の月報に掲載のマンガを編集したものである。

読んでみて……面白い……しかし、よくわからない……でも、やっぱり面白いと、いったところであろうか。

いわゆる「現代思想」については、汗牛充棟の書物がある。そして、難解であるというイメージがつきまとう。実は、私としても、苦手な方である。といって、興味がないわけではない。なんとか、わかりたいとは思っている。そんなときに、この本を、パラパラとひろい読みしてみると、う~ん、なるほどなあ、と思ったり、思わず笑ってしまったり、である。

ところで、構造主義もあつかわれている。レヴィ・ストロースは登場する。だが、ソシュールは出てきていない。言語研究のはしくれで仕事をしている人間としては、このあたりちょっと物足りない気もしないではない。

だが、そんなことは気にすることはないのであろう。読んで、おもしろければそれでいいのである。その解釈・解説がどうのこうのというのは、野暮というものであろう。

ところで、現代思想といえば、こちらも言及しておかねばならないだろう。

船木亨.『現代思想史入門』(ちくま新書).筑摩書房.2016

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068828/

こちらは、地図、というか、見取り図のようなものを、つくってくれる本である。

このような本『源田思想の冒険者たち』『現代思想史入門』、楽しんで読めばいいと思っている。いまさら、現代思想研究に何か発言しようとは思わない。でも、ちょっと気になっている。そんなとき、あの人はこんなことを言っているのか、そのイメージができればいいのだと思う。