『らんまん』あれこれ「ユウガオ」2023-06-18

2023年6月18日 當山日出夫

『らんまん』第11週「ユウガオ」

この週もいろいろとあった。

第一には、植物学雑誌。

万太郎は石版印刷を習得する。そして、植物学雑誌を刊行することができた。(ちなみに、実際の創刊号は、JstageでPDFで自由に見ることができる。)

図版は万太郎自身が石版印刷したものであった。それは、画家の絵ではなく、植物学者の絵であると評価されることになる。たぶん、このあたりの描写は史実に基づいているのだろうと思う。牧野富太郎は、植物画にすぐれた仕事を残している。これは絵のうまさだけではなく、対象となる植物への観察眼があってのことだろうと思う。おそらく、日本の植物学にとって、その最初期に、牧野富太郎がいたことは、重要な意味を持ってくるにちがいない。

ただ、この雑誌の刊行の手柄は、渡邊教授に持っていかれてしまったようである。さて、これから渡邊教授と万太郎の関係はどうなっていくのか、興味のあるところである。

第二には、ダンス。

寿恵子はダンスをマスターすることができ、舞踏練習会の発足式を迎える。そこで、寿恵子は、高藤に別れを告げることになるのだが、このあたりの描き方は、自然な感じでよかった。ただ、時代考証からすれば、そろそろ鹿鳴館というような時期にあって、後の対外膨張的な政府の施策が視野に入っていたとは、思えないかなと思うところがある。とにかく、不平等条約の解消にやっきになっていたころである。一等国というようなことを考えるのは、はるか後の日露戦争の後のことであろうと思う。

ともあれ、植物学雑誌を完成させた万太郎は、印刷所の大将に仲人をたのんで、釣書を白梅堂に持って行ってもらう。そして、寿恵子は、万太郎のいる長屋にやってくる。

次週、万太郎と寿恵子はどうなっていくだろうか。また、土佐も出てくるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2023年6月17日記

ドキュメント72時間「福島・浪江 小さな弁当屋にて」2023-06-18

2023年6月18日 當山日出夫

ドキュメント72時間 「福島・浪江 小さな弁当屋にて」

再放送である。二〇二一年三月の放送。震災から一〇年である。

浪江の町が舞台である。震災、原発事故の残したものの大きさを感じる回であったと言えるだろうか。(まだ、その状況が大きく変わったということではないはずである。)

除染が進んで人が住めるようになれば、人は戻ってくるのだろうか。一度壊されてしまった地域のコミュニティーは、そう簡単に再建できるものではない。おそらく、次の世代、次の次の世代までかかることにはちがいない。

その被災地であるが、そんなに悲惨さ強調することなく描かれていた。そのように作ってあったといえば、それまでであるが。

それにしても、登場していた人びとは誰もたくましいというべきであろうか。帰って来た人びともいるが、圧倒的に多いのは仕事に外から来ている人びとである。やはり、男性の作業員が多い。

さて、この町はこれからどうなるのであろうか。地域の問題、政治の問題でもあるが、これは日本全体で考えるべき課題として残っていくにちがいないと思う。

2023年6月17日記