「“最後の1人を殺すまで”〜サイパン戦 発掘・米軍録音記録〜」2024-08-22

2024年8月22日 當山日出夫

NHKスペシャル “最後の1人を殺すまで”〜サイパン戦 発掘・米軍録音記録〜

このような音声記録がよく残っていたものである。

サイパンの崖の上から飛び降りる女性の映像を始めて見たのは、映画『東京裁判』(小林正樹監督)だったかと記憶している。中山義秀の『テニヤンの末日』を読んだのは、その前、高校生のころだったろうか。(サイパンのこの地が、今では観光地になっていることに、なんとなく複雑な思いを感じる。)

戦史としては、重要な戦場であったことになる。アメリカ軍としては、日本本土を爆撃できる基地を手に入れることになるし、日本としては、それは絶対に阻止したいことであった。そして、アメリカ軍が、始めて日本の民間人を相手に戦うことになった最初の戦場でもあった。

見ていて思ったことは、戦場における人間の心理ということである。兵士の心理がどのように変化していくものなのか、また、そこで日本軍側の民間人をふくめて、人びとの心理状態がどうであったのか……このことについては、やはり冷静になって考えてみたいところである。それまで、国際法にのっとり民間人を殺すことをしなかったアメリカ軍が、ためらうことなく民間人を殺すようになっていく過程は、戦場における人間とは、こういうものなのだろう、と思うことになる。

戦場における人間の心理状態の変化ということについては、軍事的に研究されていることだろうとは思う。その後のベトナム戦争をはじめ、現在のウクライナでのこと、イスラエルでのことなど、戦争において人間……戦闘員のみならず民間人をふくめて……の心理状態がどのようになっていくものなのか、これはこれとして、冷静な分析が必要であるにちがいない。このような研究をふまえてこそ、戦争抑止の理論と政策が組み立てられなければならないと思う。(このような研究を軍事研究として忌避することはないと私は思う。)

この番組であつかっていたような感情をいだいていたアメリカ軍が、その翌年、日本が降伏した後に、占領軍としてやってきて、日本でどのように思い日本人をどのようにあつかうことになったのか、これはこれとして、また興味のあるところではある。

サイパン上陸作戦のときの様子について、名状し難い臭いとして語っていたことが印象に残る。

サイパンの戦いで生きのこった兵士であった人にインタビューして、昔のことを思い出して語ってもらう……番組の作り方としては、欲しい映像にちがいないが、一方で、もう一〇〇才に近い老人のに昔のことを思い出せるとういのは、かなり残酷な感じがしてならない。

2024年8月20日記

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