ダークサイドミステリー「“呪い”…人はなぜ呪うのか?〜呪術大国ニッポンの闇〜」 ― 2025-05-03
2025年5月3日 當山日出夫
ダークサイドミステリー “呪い”…人はなぜ呪うのか?〜呪術大国ニッポンの闇〜
再放送である。最初は、2023年7月6日。
呪いという気持ちが、人間の幸福を願う気持ちと裏表の関係にあって、あいともなうものである、ということは確かだろう。現世利益というが、これには、自分が幸福になりたいという面と、敵をやっつけたいという面と、両方がある。この意味では、古来よりの人間の宗教的感情のなかに、これらがひそんできているといってもいいことになる。(本来の意味での、宗教ということとは、ちょっと違うかもしれないが。)
呪いの品物のコレクターがいるというのは、今の世の中なら、そういう人もいていいかと思う。その展覧会があって、たくさん人が押し寄せているというのも、まあ、そんなものかと思う。
現在でも、丑の刻参りをする人がいる。ちなみに、「のろい」や「丑の刻参り」で検索してみると、そのやり方や神社を解説したHPや動画などが、たくさんある。それだけ、興味を持っている人がたくさんいるということなのだろう。また、実際に行っている人もいることになる。
文化人類学や民俗学の立場から見た呪いということもあるし、広い意味での宗教学でとらえる呪いもある。歴史的にも、古くから、世界中で行われてきた。日本でも、考古遺物として呪いの人形が出土している。
怨霊思想というのは、日本に特有のことなのだろうか。早良親王、菅原道真など、怨霊として神様になった人(?)は多い。だが、今では、菅原道真は天神さんとして、学問の神様にもなっている。
ともあれ、非業の死を遂げた人間の霊はたたりをなす。適切に慰霊され鎮魂の儀式が必要である。これは、日本に古くからある人びとの心性であろう。(この意味では、私は、東京裁判で絞首刑になったA級戦犯については、慰霊のための施設があってもいいと思っている。しかし、だからといって、靖国神社に合祀するのが適切であるかどうかは、また別の問題である。)
佛教大学の斎藤英喜さんが登場していたが、つい最近、亡くなられた。その入院のときの様子など、Facebookで見ていたので、近しい人のように感じるところがある。日本の陰陽道などの専門家である。
陰陽師として、安倍晴明はあまりに有名である。昨年の『光る君へ』では大活躍していた。ただ、ドラマのなかでは、式神を使うシーンが無かったのが、ちょっと残念であった。
平安時代の貴族の呪いについて、真言密教に話しをもっていくのは、ちょっと強引な感じである。平安時代の貴族の、生活感覚としては、現代の人間とは違った側面がかなりあったはずである。呪いという方向だけで考えるのではなく、安産の祈祷なども含めて、広く考えるべきところだろう。
おそらく人間社会なかから、人を呪うという感情は、これから消えてなくなることはないだろうと思う。それがどのような形をとるかは、時代によって移り変わっていくことだろうが。
2025年5月1日記
ダークサイドミステリー “呪い”…人はなぜ呪うのか?〜呪術大国ニッポンの闇〜
再放送である。最初は、2023年7月6日。
呪いという気持ちが、人間の幸福を願う気持ちと裏表の関係にあって、あいともなうものである、ということは確かだろう。現世利益というが、これには、自分が幸福になりたいという面と、敵をやっつけたいという面と、両方がある。この意味では、古来よりの人間の宗教的感情のなかに、これらがひそんできているといってもいいことになる。(本来の意味での、宗教ということとは、ちょっと違うかもしれないが。)
呪いの品物のコレクターがいるというのは、今の世の中なら、そういう人もいていいかと思う。その展覧会があって、たくさん人が押し寄せているというのも、まあ、そんなものかと思う。
現在でも、丑の刻参りをする人がいる。ちなみに、「のろい」や「丑の刻参り」で検索してみると、そのやり方や神社を解説したHPや動画などが、たくさんある。それだけ、興味を持っている人がたくさんいるということなのだろう。また、実際に行っている人もいることになる。
文化人類学や民俗学の立場から見た呪いということもあるし、広い意味での宗教学でとらえる呪いもある。歴史的にも、古くから、世界中で行われてきた。日本でも、考古遺物として呪いの人形が出土している。
怨霊思想というのは、日本に特有のことなのだろうか。早良親王、菅原道真など、怨霊として神様になった人(?)は多い。だが、今では、菅原道真は天神さんとして、学問の神様にもなっている。
ともあれ、非業の死を遂げた人間の霊はたたりをなす。適切に慰霊され鎮魂の儀式が必要である。これは、日本に古くからある人びとの心性であろう。(この意味では、私は、東京裁判で絞首刑になったA級戦犯については、慰霊のための施設があってもいいと思っている。しかし、だからといって、靖国神社に合祀するのが適切であるかどうかは、また別の問題である。)
佛教大学の斎藤英喜さんが登場していたが、つい最近、亡くなられた。その入院のときの様子など、Facebookで見ていたので、近しい人のように感じるところがある。日本の陰陽道などの専門家である。
陰陽師として、安倍晴明はあまりに有名である。昨年の『光る君へ』では大活躍していた。ただ、ドラマのなかでは、式神を使うシーンが無かったのが、ちょっと残念であった。
平安時代の貴族の呪いについて、真言密教に話しをもっていくのは、ちょっと強引な感じである。平安時代の貴族の、生活感覚としては、現代の人間とは違った側面がかなりあったはずである。呪いという方向だけで考えるのではなく、安産の祈祷なども含めて、広く考えるべきところだろう。
おそらく人間社会なかから、人を呪うという感情は、これから消えてなくなることはないだろうと思う。それがどのような形をとるかは、時代によって移り変わっていくことだろうが。
2025年5月1日記
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