『「分かりやすい教え方」の技術』2009-02-15

2009/02/15 當山日出夫

藤沢晃治.『「分かりやすい教え方」の技術』(講談社ブルーバックス).講談社.2008

同じ著者(藤沢晃治)の「説明」「表現」「文章」に続く、第4番目の「わかりやすい」シリーズ。

確かによく書けているし、非常に有益な本ではあるのだが・・・この本の内容が適用可能なのは、かなり限られた場面だろう。それをみきわめて読まないと、かえってあぶないかもしれない。

あることがらを学ぶことが「利益」につながる、このことが、「生徒」も「先生」の双方に共有できている場合には、きわめて参考になる。実際には、高等教育(=大学)以上、あるいは、企業内での研修などでの場面。このように限定的に読むと、とても有益な点がある。

だが、以下の点は、実際にはむずかしい。
・「叱っても怒るな」p.72
・「生徒の文化を尊重せよ」p.74
これは、矛盾する場合がある。まず、叱ってみないことには(あるいは、怒ってみないことには)、相手の生徒が、どう反応するのか、生徒の文化が理解できない。

「実験」とは言わないまでも、「試行錯誤」の幅がおおきくゆれることは、教育の現場では、あまり歓迎されない。意図的にそれを、おこなったときのデメリットを、ひとはおそれる。

ところで、この著者、教えるべきものは「学力」であり、それは、なんらかのかたちで、評価可能であるとの価値観を持っているらしい。このようなことを思うのは、『学力とは何か』(諏訪哲二)を、読んだせい。この本については、後ほど。

當山日出夫(とうやまひでお)

追記
本のタイトルを、「わかりやすい」と書いていたのを「分かりやすい」に訂正。メイリオを使うと、ひらがながふえる・・・・・・

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