「マザーシップ 地中海“死のルート” 難民救助船の日々」2023-12-28

2023年12月28日 當山日出夫

BS世界のドキュメンタリー 「マザーシップ 地中海“死のルート” 難民救助船の日々」

二〇二三年、フランスとベルギーの制作。

気になることが二つある。

第一には、地中海を船で渡ろうとしている難民の人びとは、いったいどういう理由で故郷を離れることになったのか。様々な理由があるにちがいないが、このことについて説明はなかった。しかし、これはこのような方針であるのだろう。どのような理由で難民になったにせよ、理由のいかんをとわず、その生命、人権は保障されねばならない。

第二には、無事にイタリアにたどりつくことができたとしても、その後どうなるのか。ヨーロッパにおいて、移民、難民を、受け入れることが難しくなってきているというのが、私の認識なのだが、さて、このあたりの実際の事情はどうなのだろうかと思う。しかし、難民として漂流している人びとを見捨てることはできない。

以上の二つのことが気にはなる。だが、このようなことにあえて触れないで制作した番組であることは、理解しておくべきだろう。

余計な感想かもしれないが、今、地中海で起きていることが、近い将来、東シナ海、日本海で起こらない保証はない。そのとき、日本はどうあるべきだろうか。

2023年12月26日記

ETV特集「続報 “冤罪”の深層〜新資料は何を語るのか〜」2023-12-28

2023年12月28日 當山日出夫

2023年12月28日 ETV特集 続報 “冤罪”の深層〜新資料は何を語るのか〜

おそらくは冤罪事件の一つとして記憶されることになる事件であるにちがいない。

なぜこのような事件が起こることになったのだろうか。番組を見る限りでは、次の二つのことが考えられる。

一つには、警察の手柄にしたかったということ。これは、これまでのいろんな冤罪事件でもあったことである。ただ、この事件は公安がかかわった事件という特殊性はあるかもしれない。

二つには、経済安全保障という追い風。時代の雰囲気、あるいは、空気と言ってもいいだろうか。経済安全保障にかかわる事件、特に中国、韓国を対象国として、注目をあつめる事件としたい、このような思惑が知らず知らずのうちに働いていた可能性があるだろう。

まずは、以上の二つのことを思う。さらにここから考えることは、次の三つである。

第一には、このような冤罪を生まないために何をすべきか。経産省の法令を無理にねじ曲げて、事件を作りあげたということになる。警察、検察の反省が必要である。

第二には、では経済安全保障とはどうあるべきか、ということ。この事件が冤罪であったからといって、経済安全保障ということがなくなるわけではない。ウクライナでの戦争を契機に、デュアルユース、軍事、民生の両方に利用可能な技術が問題になってきている。改めて、この問題を議論する必要があるだろう。

第三には、文書を残すことの必用性。NHKの取材は、基本的に残された文書に基づいている。関係者の記録が残っていなければ、ことの真相は明らかにならなかっただろう。安倍政権のとき、公文書の改竄などの問題が多くあった。文書、記録を残すことは、民主主義の根幹にかかわる。このことの重要性を再認識することになる。

見方によっては、公安の暴走ととらえることもできる。公安を管理するシステムはどうあるべきか、問われる事件である。

2023年12月25日記

大川原化工機の裁判の結果、東京地裁の判決は会社側の勝訴ということになった。

2023年12月27日追記