「夢の果てまでも 〜アフリカ 苦闘する中国の若者たち〜」 ― 2024-11-30
2024年11月30日 當山日出夫
BSスペシャル 夢の果てまでも 〜アフリカ 苦闘する中国の若者たち〜
中国人のたくましさ、ということを読みとることもできる。その一方で、現在の中国経済の行き詰まりを感じとることもできる。また、アフリカの社会や経済の一端を見ることもできる。
中国が、外交的にも、経済的にも、多方面でアフリカ諸国と関係を深めていることは、言われていることである。その中国のアフリカへの進出(といっていいだろうか)の最前線にいる、中国出身の若者たちである。中国には未来を見いだせないでいる。経済は低迷し、これからの発展は望めない。親の世代までは、中国の経済発展ととともに、生活も豊かになってきた。しかし、今の中国の若者の失業率は高いままである。新天地をもとめてアフリカにやってきていることになる。
中国メーカのブランドのスピーカを、ナイジェリアで現地生産している。たしかに、人件費が安い方がいいから、スピーカの製造がナイジェリア国内である方が有利にちがいない。中国よりも格段に安い。(番組で言っていなかったが、この工場は組み立てだけなのだろうか。部品の製造などは、どうなっているのだろうか。)それから、工場では、スピーカが入った段ボール箱を、放り投げて運んでいたが、これで大丈夫なのだろうか。これは、日本の工場だと想像できない光景と思える。
マーケットで売られている商品の多くが、中国製である。世界の工場としての中国の地位は、ここでも見ることができる。
そのマーケットであるが、古風な言い方をすれば、昔の日本の闇市を大きくしたような感じといってもいいかなと思う。小さな個人商店がたちならんでいる。人が行き交う道は、舗装されていない。また、そのマーケットを取り仕切るマフィア(といっていいのだろうか)のような、存在もある。ショバ代を払わないと、外国人はビジネスができない。場合によっては、警察もグルである。
このようなマーケットで、近代的なビジネスはなかなか難しいのではないかと感じるところもあるのだが、しかし、ここは現地の流儀に合わせていくしかない。(おそらく、以前に日本の企業が海外に進出し始めたころは、こんな感じだったのかもしれないと思うが、どうだったのだろうか。)
ナイジェリアは経済発展をとげているアフリカの国であるが、国内の貧富の差は大きく、人びとの暮らしも豊かとはいえないようだ。だからこそ、中国が政府としても手をのばし、また、若い人たちも夢をおってやってきているということなのだろう。ちょっと映っていた、現地の人びとの住まいは、スラムといってはいけないのかもしれないが、ゴミが地面に散乱した粗末な住居群という印象であった。だが、中国製(?)のスピーカを買うような人は、少なくとも電気の通じているまともな家に住んでいるのだろう。どのような人たちが、このスピーカを買っているのか、どのように使われているのか、興味がある。
番組の範囲では、成功したという中国人を取材している。挫折し希望を失ったという例は出てきていなかった。一方、現地で富をきずいたということも出てきていない。まだ、中国人がナイジェリアに本格的に来るようになって、まだあまり時間がたっていないから、ということかもしれないが。
中国資本がナイジェリアの現地の人を労働力として搾取している、ということでは描いていなかった。せいぜい、家政婦として使っている。工場労働者として使っている、ということである。(実際には、もっといろんな事例があることだろうと思うのだけれど。)
これをナイジェリアから見るとどうなるのだろうか。欧米や日本などとよりも、中国と関係を深めていった方がいいという、国家レベルでの判断があってのことにはちがいない。これを現地の人びとはどう感じているのだろうか。番組のなかで、今のナイジェリアの政情についてはまったく触れていなかったことも、ちょっと気になる。
このような形で、中国人と資本、そして、人的ネットワークがアフリカをはじめ、いわゆるグローバルサウスの国々に、進出していることは確かである。そして、本国は、経済の低迷に苦しんでいる(らしい)。このさき、いったいどうなるだろうか。
2024年11月29日記
BSスペシャル 夢の果てまでも 〜アフリカ 苦闘する中国の若者たち〜
中国人のたくましさ、ということを読みとることもできる。その一方で、現在の中国経済の行き詰まりを感じとることもできる。また、アフリカの社会や経済の一端を見ることもできる。
中国が、外交的にも、経済的にも、多方面でアフリカ諸国と関係を深めていることは、言われていることである。その中国のアフリカへの進出(といっていいだろうか)の最前線にいる、中国出身の若者たちである。中国には未来を見いだせないでいる。経済は低迷し、これからの発展は望めない。親の世代までは、中国の経済発展ととともに、生活も豊かになってきた。しかし、今の中国の若者の失業率は高いままである。新天地をもとめてアフリカにやってきていることになる。
中国メーカのブランドのスピーカを、ナイジェリアで現地生産している。たしかに、人件費が安い方がいいから、スピーカの製造がナイジェリア国内である方が有利にちがいない。中国よりも格段に安い。(番組で言っていなかったが、この工場は組み立てだけなのだろうか。部品の製造などは、どうなっているのだろうか。)それから、工場では、スピーカが入った段ボール箱を、放り投げて運んでいたが、これで大丈夫なのだろうか。これは、日本の工場だと想像できない光景と思える。
マーケットで売られている商品の多くが、中国製である。世界の工場としての中国の地位は、ここでも見ることができる。
そのマーケットであるが、古風な言い方をすれば、昔の日本の闇市を大きくしたような感じといってもいいかなと思う。小さな個人商店がたちならんでいる。人が行き交う道は、舗装されていない。また、そのマーケットを取り仕切るマフィア(といっていいのだろうか)のような、存在もある。ショバ代を払わないと、外国人はビジネスができない。場合によっては、警察もグルである。
このようなマーケットで、近代的なビジネスはなかなか難しいのではないかと感じるところもあるのだが、しかし、ここは現地の流儀に合わせていくしかない。(おそらく、以前に日本の企業が海外に進出し始めたころは、こんな感じだったのかもしれないと思うが、どうだったのだろうか。)
ナイジェリアは経済発展をとげているアフリカの国であるが、国内の貧富の差は大きく、人びとの暮らしも豊かとはいえないようだ。だからこそ、中国が政府としても手をのばし、また、若い人たちも夢をおってやってきているということなのだろう。ちょっと映っていた、現地の人びとの住まいは、スラムといってはいけないのかもしれないが、ゴミが地面に散乱した粗末な住居群という印象であった。だが、中国製(?)のスピーカを買うような人は、少なくとも電気の通じているまともな家に住んでいるのだろう。どのような人たちが、このスピーカを買っているのか、どのように使われているのか、興味がある。
番組の範囲では、成功したという中国人を取材している。挫折し希望を失ったという例は出てきていなかった。一方、現地で富をきずいたということも出てきていない。まだ、中国人がナイジェリアに本格的に来るようになって、まだあまり時間がたっていないから、ということかもしれないが。
中国資本がナイジェリアの現地の人を労働力として搾取している、ということでは描いていなかった。せいぜい、家政婦として使っている。工場労働者として使っている、ということである。(実際には、もっといろんな事例があることだろうと思うのだけれど。)
これをナイジェリアから見るとどうなるのだろうか。欧米や日本などとよりも、中国と関係を深めていった方がいいという、国家レベルでの判断があってのことにはちがいない。これを現地の人びとはどう感じているのだろうか。番組のなかで、今のナイジェリアの政情についてはまったく触れていなかったことも、ちょっと気になる。
このような形で、中国人と資本、そして、人的ネットワークがアフリカをはじめ、いわゆるグローバルサウスの国々に、進出していることは確かである。そして、本国は、経済の低迷に苦しんでいる(らしい)。このさき、いったいどうなるだろうか。
2024年11月29日記
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