英雄たちの選択「異色の豪商 財政再建を請負う〜本間光丘と庄内藩〜」2025-11-12

2025年11月12日 當山日出夫

英雄たちの選択 異色の豪商 財政再建を請負う〜本間光丘と庄内藩〜

本間様にはおよびもないが……ということばは、たしか、高校生のときぐらいに憶えたかと思う。すごい豪商がいたものだということで、知識としては、知っていたということになる。

江戸時代の経済史というのは、歴史学としては、面白い研究分野になるだろうと思う。史料の見方として、それがどういう人物が何のために残した史料なのかということの解釈もあり、同時に、マクロな視点から、当時の日本の経済と農業、商業の全体像を把握していないといけない。そして、その時代に生きた人びと……農民であったり、商人であったり、武士であったり……の、考え方を理解することになる。

それにしても、なぜ、江戸時代の武士は貧乏だったのだろうか。商人から多くの借金があった、ということが前提で話しが始まるのだが、どうしてそうなってしまったのか、これは、近世の日本の封建社会の仕組みそのものに内在する問題点だったのか、ということが、今ひとつ分からないところでもある。タテマエ上は、石高制をとっていても、実質的に、サラリーマン的生活をおくることになっていたのが、近世の武士であり、そこに新しい経済の発展……新しい産業であり、商品の流通であり……があれば、農本主義的な構造の中にあった武士としては、どうしようもなかった、ということなのかと思うが、いったいどうなのだろうか。

農業の生産性が向上して年貢収入が増えて、また、商品流通からも税収入が増えるような仕組みがあって、サラリーマンとしての武士の収入が増え、幕府や藩の財政が豊かになる、ということなら……まあ、現在の資本主義社会に近いということなのかと思うが……どうにかなったのかもしれない。日本全体としての実質収入が増加するという経済のシステムではなかった、という理解でいいのだろうか。

本間光丘のやったことは、この時代にあっては、非常に合理的な財政論であったというべきなのだろう。多重債務を、まとめて一本化して、低金利のものにまとめる。この手法は、きわめて合理的である。これについて、藩が直接かかわる、藩のお金を使ってということになると、いろいろと問題があった、ということになる。

短期的には、極端な場合として徳政令で借金帳消しというのが、ありえたことになるし、これで、救われる場合もあった。(なぜ、日本で、かつて徳政令ということがあったのか、ということの説明は、これはこれで興味深いものだと思うが。これまでに払った利息で、元本をみたすならば、もうそれでいいじゃないか、というのは、ある意味で筋が通っていることではあると思える。暴利をむさぼるな、という意味ではあるが。)だが、短期的な利益では、長期的な成長戦略が見込めないということの視点が重要ということである。

現代にも通じる、経済感覚が、江戸時代の本間光丘にあったということになるし、多くの東北の藩が、それに賛同していたということにもなるだろう。

長期的な視点で見て、生産にたずさわるもの(この場合は、農民といっていいだろうが)と、流通にかかわるもの(商人ということになる)が、それぞれに納得のいく、経済のシステムを考えるべきということと理解する。それに、消費者の視点ということも、必要かもしれない。

時間差でお金を稼ぐ……こういうことの発想が理解できるかどうかだとは思う。これが、江戸時代だったら、年に一回収穫できるお米について、せいぜい、先物取引があるぐらいだったのだろうが、これが、現在の国際経済では、規模もスピードも格段に違う。AIを使った取引で、瞬時に膨大なお金が動くようになっている。こういう時代になっているからこそ、昔の人がどう考えていたのかということを知ることは、必要かとも思える。

番組の中で磯田道史が言っていたことで、倹約令がうまくいった例は歴史上ほとんどない、ということだったが、まあ、人間の世の中というのは、そういうものなのだろうなあ、と思うところである。

それから、本間家がなぜあんなにお金持ちだったのか、さかのぼって東北地方の歴史を考えると、面白いことがたくさんあるのだろうと思う。西日本とか、京阪神、江戸近辺との違いが、歴史の中でどういう意味をもっていたのか、興味深いところである。

2025年11月7日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2025/11/12/9816585/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。