BSスペシャル「鈍色のダイヤモンド」 ― 2026-04-29
2026年4月29日 當山日出夫
BSスペシャル「鈍色のダイヤモンド」
人工ダイヤモンドというと、まず、思いうかぶのが、アメリカのトランプ大統領との交渉で、日本がアメリカに多額の投資をすることになって、その具体的提案の最初に人工ダイヤモンドのことがあったことである。これは、宝石としての用途ではなく、新しい半導体産業、その素材、ということであった。
この番組でとりあげていたのは、宝石としてのダイヤモンド。
ダイヤモンドの原石の加工・研磨が、インドのさほど大きくはない街で、世界中の仕事のほとんどをやっているということは、知らなかった。ダイヤモンドというと、アフリカなどのダイヤモンド鉱山で働く、下層労働者の姿を思い浮かべる。また、それに君臨する、ダイヤモンド商人たちであったり、取引の中心としてはベルギーなどを思い浮かべるのだが……もうこういうイメージは古いということなのだろう。
ダイヤモンドの原石を採掘する労働者も底辺の労働者になるかとも思うのだが、このことについては、一切ふれていなかった。加工・研磨の仕事は、インドの街でやっている。その賃金は、おどろくほど安い。ダイヤモンド一つをカットして形をととのえて、数十円にもならない。
ロシアのウクライナ侵攻からこのかた、ロシア産のダイヤモンドが、(おそらくは表向きはということなのだろうが)市場に流通しなくなった。(きっと、中国などの裏のルートはあるにちがいないとは思うけれど。)そして、人工ダイヤモンドが安価に作れるようになったので、ダイヤモンドの市場価格は、急激に下落した。こういうことは、知らなかった。宝石などとは縁のない生活である。まあ、金価格が上昇しているということは、ニュースになっていたことであるが。
人工ダイヤモンドでも、天然ダイヤモンドでも、人間の目では区別できない。であるならば、宝飾品としての価値は、安くてもいいし、それなりの価格で取引されることになる。
こういうことは、ラパポートのダイヤモンド・レポートとして、ダイヤモンド市場に君臨してきたユダヤ人商人(こういう言い方は、偏見かなと思うけれど)にとっては、気にくわない。本物だからこその価値を力説することになるが、しかし、現実に宝石店では、若者が安い人工ダイヤモンドを買っている。
人工ダイヤモンドの登場で、市場価格が下がり、その加工・研磨の賃金も下がる。だが、ダイヤモンドの価格(末端価格というべきだろうが)を考えると、インドの職人さんたちの給料や待遇は、もっといいものであってもかまわないと思える。しかし、安くできるものは、とことん安くで、というのが、資本主義の論理である以上、インドの職人さんたちの生活が、苦しくなるのは、しかたないことなのかとも思ってしまう。
ダイヤモンドをブリリアントカットに加工するのに、現代だったら、AIロボットを使ってもいいかと思うが、これも、そういうものを開発するよりも、インドの職人さんの手作業に頼った方が安い、ということになるのだろうか。
たかが炭素のかたまりだといってしまえばそれまでなのだが、ダイヤモンドをめぐっては、いろんな歴史があったことであり、また、現代でも、地球規模の動きがある。宝石としての人工ダイヤモンドは、ひろまっていくだろう。そして、半導体素材としての人工ダイヤモンドは、経済安全保障とからんで重要な産業になるかと思う。
ところで、インドで、人工ダイヤモンドを作る工場で、新工場を建設と言っていたが、映っている映像を見ると、建設のための足場が木材で組んである。最近、香港で、高層ビルの建築に、竹の足場を組むことが問題視されることになった事故があったが、竹や木材をつかう、こういう技術は、アジアの各地に残っていること思っていいのだろうか。
2026年4月24日記
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