『ARG』316号2008-03-31

2008/03/31 當山日出夫

ARGの316号を読んでの感想をいささか。

http://d.hatena.ne.jp/arg/20080331/1206890054

日外アソシエーツの、最近の書誌図書関係文献を公開、であるが、私も、同じく、笠間書院のブログで知った。笠間書院のメールマガジンならびに、そのHPは、とても役にたつのだが、メールマガジンの発行部数を見ると、250ほど。笠間書院は、日本文学・日本語の研究者ならかならず知っている出版社である。ここのグーグルカレンダー対応も便利である。

日本文学・日本語学関係で、まだ、「情報の共有」というところまで、多くの人の関心が向いていないのではないかと、思われるが、どうであろうか。

『リーガル・リサーチ』であるが、正直に言って、買ったままで積んである。ざっと目を通した印象では、決して、法律だけに限らないで、幅広く対象としていることがわかる。それよりも、気にいったのは、論文を書くときの文献リストの記載方法が、きちんと明示されていること。

たぶん、これは、法律学の世界だから、ある程度の共通基盤があってのことと思う。文学部だと、とても、こうはいかない。書名を『 』に入れなさい、という先生もいれば、絶対に『 』を使ってはいけません、という先生もいる。

授業として、「アカデミック・ライティング」を教える立場としては、「両論併記」「書誌の記載にはルールがあるということを知る」というところで妥協せざるをえない。

参考資料の探し方と、論文へのその記載方法は、密接に関連する。人文学系でも、それぞれにルールの違いはあるだろうが、ある程度のところで整理して、総括的なルールブックを作ってもらいたいものである。

京都大学の機関リポジトリの愛称であるが・・・はっきり断言できる。今の京都大学の学生は、「紅」の意味は分からない。一般の学生から意見をつのったなら、この名称になるはずがない。たぶん、これは、「紅」の意味がわかる、る程度以上の年配の人の、「教育的配慮」によるものとおぼしい。

「帝国日本の科学技術動員体制」の休止には、私も残念に思う。

山形県立図書館の事例、その機能も便利であるが、「クッキー」について説明を加えてあることも重要だと思う。コンピュータを日頃つかっている人間には自明のことでも、普通には必ずしもそうではないことが多くある。「クッキー」などは、その代表かもしれない。

また、各種の研究会に参加した人が、それぞれに印象を述べてくれるということはありがたい。いまのように、いろんな研究会が多くなると、とても全部は出られない。また、以前、紹介のあった、東大のベネッセ講座のように、研究会の詳細なレポートを、掲示してくれるとはかぎらない(いや、東大のベネッセ講座が特殊なのであるが。)

ある研究会や、その中での研究発表についても、人それぞれに見方が違う。なるべく多くの人が、研究会への参加報告レポートをブログなどで表明してもらえると、ありがたい。また、これは、研究会の主催者にとっても、重要な意味をもつに違いない。

當山日出夫(とうやまひでお)