今年読みたい本のことなど2017-01-01

2017-01-01 當山日出夫

謹賀新年

このブログを、去年の五月に再開した。本を読んで、そして、それを文章にする生活をおくりたいと思うようになったからである。

もう、私は年齢としては、還暦をすぎた。そして、今では、それから一年以上すぎている。決して若くはない。しかし、だからといって、まだ年をとって衰えたというのは、早いかと思う。たしかに、目は老眼になってきて、小さい文字の本を読むのがつらくなってきている。眼鏡をはずさないと読書できない。だが、まだ、本は読めるし、こうして、パソコンに向かって文章をつづることもできる。

「読んでいない本」がたくさんある。これからは、これまで名前は知っていても「読んでいない本」のいくつかでも、読んでおきたいと思う。古今東西の古典、名著、名作。

ひろい意味での「文学」……文学・歴史・哲学といった本を読んでおきたい。人文学の基礎的書物である。

かつて、このブログを始めたとき、人文情報学、デジタル・ヒューマニティーズということを考えていた。これを推進する立場に今も私はかわりはない。デジタルの世界が、どんどんこれからの人文学の世界を変えていくだろう。そのことは、自分なりに十分承知しているつもりでいる。

いや、だからこそというべきか、人文学の人文学たるゆえん……本を読むこと、文章を書くこと、それから、人と語ること……これらのことに時間をつかっていきたいと思うようになってきている。このことをわすれて、人文情報学というものはないだろうと思う。

今年(2017)、読んでおきたいと思っている本(シリーズ)としては、まず、『定本漱石全集』がある。夏目漱石の作品は、若い頃、高校生のころからしたしんできた。数年おきに、その代表的な小説作品は読み返すようにしている。2016年は、漱石没後100年。2017年は、漱石生誕150年になる。岩波書店がまたあらたに『定本漱石全集』を刊行する。前の版ももっているのだが、この新しい漱石全集で、漱石の作品を、もう一度、自分なりに確認しながら読んでみたい。
https://www.iwanami.co.jp/news/?action=detail&news_no=17359

それから、去年(2016)に完結した『井筒俊彦全集』(慶應義塾大学出版会)。私が大学生になったとき、井筒俊彦は、すでに慶應を去った後だった。だが、鈴木孝夫、池田弥三郎などの諸先生を通じて、その面影を感じたものである。直接、その謦咳に接したのは、岩波ホールでの講演会の時であった。このようなすぐれた知性がこの世に存在するのか、と感銘をうけた覚えがある。『井筒俊彦全集』はそろえて買ってある。また、その生前に出た単行本もほとんど持っている。これらの本を、今の自分でどれだけ理解できるかどうかわからないが、読んでみたい。
http://www.keio-up.co.jp/kup/izutsu/cw.html

みすず書房が、『中井久夫集』(全11巻)を刊行する。これも、読んでみたい。
http://www.msz.co.jp/topics/08571-08581/

その他、『歴史学の名著30』(山内昌之)『政治学の名著30』(佐々木毅)(ちくま新書)などのブックガイドを参照しながら、そのいくつかでも、読んでおきたい。これら、ひろい意味での「文学」に属する本……古典的名著……を読みたい。私の学生のころに出た、中央公論の「世界の名著」、これは、古本で非常に安く買えるようになっている。あるいは、なかには、新しい新訳が文庫本などで刊行されているものもある。

ともあれ、読書ということで生活をおくりたい、これが新年にあたっての抱負である。

なお、蛇足でつけくわえれば、私は、若いときからミステリ好きである。いや、ここは古風に探偵小説といいたい。良質なミステリ、探偵小説、を読んでいきたいとも思っている。