『光る君へ』「月夜の陰謀」2024-03-11

2024年3月11日 當山日出夫

『光る君へ』第10回「月夜の陰謀」

花山院の出家の顚末については、『大鏡』に出てくる。平安朝の文学では、著名な事件であったことになる。『大鏡』を読むと、花山院は、よほど変わった趣味の持ち主という感じで描かれていたと思うが(『大鏡』を読んだのは、随分と昔のことになる)、ドラマのなかの花山院は、死んだお后のことが忘れられない一途な男という雰囲気である。

ともあれ道兼がたばかって、花山院は出家ということになってしまった。この事件のことを、このドラマでは、兼家一族の陰謀という筋書きで描いていた。これはこれとして、面白い。

朝廷の描写で気になるのは、天皇の玉座が、どうもみみっちいような気がするが、どうだろうか。考証しても分からないことなのか、制作の予算がないのか。

ところで、この回のもう一つの筋は、まひろと道長の恋。まあ、これを恋ということができるなら、ということであるが。どうも、平安時代の貴族の生活に、現代の感覚を持ち込みすぎているように感じるところがある。平安時代、『古今和歌集』いらい「恋」というのは、歌のテーマではあった。しかし、それが、現代の恋愛感情と同じかというと微妙かなと思わないでもない。婚姻の制度など、現代とは違う。だが、これはドラマということで見ることになる。

道長はまひろと駆け落ちしようと持ちかけるのだが、まひろは断ってしまう。いわば少女漫画的展開と言っていいだろう。だが、それにしても、もし駆け落ちしたとしても、どうやって生活していくことになるのだろうか。

さて、次週、兼家一族が実権をにぎることになって、まひろたちにもいろいろとあるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2024年3月10日記

「ミニドキュメンタリー 私は選挙に帰ります」2024-03-11

2024年3月11日 當山日出夫

ミニドキュメンタリー 私は選挙に帰ります

たまたま気づいたので録画しておいて見た。短い番組だが、とてもいい。

台湾での総統選挙があったのは、しばらく前である。そのときのことは、日本の報道などでも大きくあつかっていた。選挙のために帰国するひとが多いということも報じられていたが、どのような思いで選挙に臨むのかということまでは、語られていなかったかと思う。

自分の国の未来は自分で決めたい……このような思いが非常に強いことが分かる。

日本の選挙は投票率が低い。どうせ投票しても結果は分かっているから、と思う人が多いせいかもしれない。これには、政治に対する関心の度合い以外にも、選挙制度、国家の制度の違いなどが、総合的に関連してのことだろうとは思う。

ともあれ、台湾の人びとの選挙への関心の高さは非常によいことである。

台湾については、中国との関係をどうするのかが大きな争点である。だが、このように選挙について多大な関心をもっている人びとの国を、今の中国のような独裁の国にすることは容易ではないだろう。いわゆる台湾有事ということがあったとしても、その後の統治をどうするか、きわめてハードルが高いものになるにちがいない。

強いていえば、香港は狭いエリアだから民主主義を弾圧する強権的な政治が可能になったかもしれないが、台湾ではそううまくいかないだろう。

台湾の人びとは、日常的に政治の話しをするという。日本ではどうだろうか。職場でも家庭でも政治の話しはあまりしない、と思う。かつて、日本で政治が熱く語られたのは、はるか昔、七〇年安保のときのことになるだろうか。

立場はことなるとしても、自由闊達に政治の議論ができるようになることが必要である。

番組のなかで言及のあった、台湾でのひまわり学生運動のことは知らなかった。日本でもそう大きなニュースとして伝えられることはなかったと思うのだが、どうだったろうか。

日本に在住する台湾の人が言っていた……台湾の未来は日本の未来でもある、だから投票するために帰る、と。

2024年3月5日記