松田さんのコメントについて2009-02-26

2009/02/26 當山日出夫

松田さん、どうもありがとうございます。

確かに、国によって、文化財とか文書管理の考えかたが違いますね。アーカイブズの方から考えますと、一般的に言われているのは、

・ヨーロッパが最先端を行っている
・アメリカがそれを追いかけている
・中国や韓国なども頑張っている
・日本は、一番おくれている(いや、なにもしていない)

というようなことです。ちなみに、形式的なことかもしれませんが、日本では、ライブラリ(司書)、ミュージアム(学芸員)の、資格はあります。しかし、アーカイブズの資格はありません。現在、その公的資格制度確立のために運動中。

それから、渋沢財団/実業史研究情報センター
http://www.shibusawa.or.jp/center/index.html

ブログ:情報の扉の、そのまた向こう
http://d.hatena.ne.jp/tobira/

や、そのメールマガジンなどを読んで感じることは、アーカイブズの「論理」と「倫理」が、欧米においては、徹底していることです。

技術とか法的整備以前の、日常生活のなかでの感覚(記録をどう残すか)が問題であるように感じます。日本がどのような方向にすすむにせよ、その根幹をになうのは「教育」かもしれません。過去の資料(史料)から、何を読み取るのか。保存のための保存にとどまっては、何も価値がない。それを利活用してこそ、保存の価値がある。

美術館・博物館の収蔵品、また、図書館の本についても、ただ、保存のために持っているだけではなく、どう現代において、そして、将来に向けて、どう利活用するかを考えなければならないと思います。

なお、松田さんからのコメントが、重複していましたので、片方を非公開の状態に変更します。

當山日出夫(とうやまひでお)

幻影城の思い出2009-02-26

2009/02/26 當山日出夫

今日の新聞(朝日)を読んで、泡坂妻夫の訃報を知った。新聞を見落としていたらしい。

ちょうど学生のとき、神保町を歩くと、『幻影城』や、『亜愛一郎』シリーズなど、ゾッキ本で並んでいた。もう、ゾッキ本という言い方自体が、死滅してしまったようであるが。

もちろん、「亜愛一郎」はこれで読んだ。今も、書庫の、どこかにあるはず。

現代の、いわゆる「本格ミステリ」より以前の段階で、「探偵小説」をになってきた一人として、私は、覚えている。「探偵小説」といえば、私の場合、仁木悦子、になる。仁木悦子は、その著作集が刊行されている。泡坂妻夫は、どうなるだろうか。

いま、手元にあるのは、D・M・ディヴァィンの作品(創元推理文庫)。作品の紹介文には、「探偵小説」とある。「ミステリ」でも「推理小説」でもない。

當山日出夫(とうやまひでお)

大学の研究アーカイブズ2009-02-26

2009/02/26 當山日出夫

松田さん、たびたびのコメント、ありがとうございます。ARGカフェの懇親会のパブで話題にしたかと思いますが、大学の研究アーカイブズ。

たとえば、次の本。

山田奨治.『禅という名の日本丸』.弘文堂.2005

山田さん(日文研)は、ヘリゲルという、『弓と禅』の著者の足跡をたづねて、ヨーロッパに行きます。そのとき、ヘリゲルが学んだハイデルベルグ大学の「文書館」(原文ママ)には、その遺族が寄贈した、ヘリゲルを中心とした一族の文書・記録が、残されていたとのこと。(甥から1993年に寄贈とのよし)。上記の本では、117ページに記載があります。

山田さんの本自体、非常に興味深く、日本文化を語る上では、今では欠かすことのできない、貴重な仕事と思っています。「日本」という文化的なイメージの形成のプロセスを考えるうえで。この点では、松田さんの御研究の、蘭学・出島などの研究とつながると思います。

この点とは別に、上記の、ヘリゲル関係の文書が大学に保管されているということが、非常に印象に残っています。で、本棚から取り出してきて、確認した次第。

ヘリゲルの一族が、これを残そうと思ったこと。ちなみに、ヘリゲルはナチ党員でした。そして、これを受け入れる大学の体制・制度が、整備されていたこと。このことが、非常に印象的です。

まず隗よりはじめよ・・・日本のこれからのアーカイブズ学の将来は、ある意味で、大学の研究アーカイブズにかかっているともいえます。そのような環境の中で勉強してこそ、本当のアーキビストの養成につながります。

とこで、4月には、学習院大学でのアーカイブズ学会で発表。文字のことを話す予定。デジタル文字は、どうやったら残せるのか、これは、難しい問題です。

當山日出夫(とうやまひでお)