『時間線下り列車』2009-05-03

2009/05/03 當山日出夫

清水義範.『時間線下り列車-清水義範パスティーシュ100 五の巻』(ちくま文庫).筑摩書房.2009

このシリーズ、たいがい、出てすぐに買う。なかなかすぐに読めないこともあるが、これまでは、すべて、完読してきている。これは、その4冊目。いよいよ、残るは、1巻。

気にいった作品としては、表題作の「時間線下り列車」、「トグ兄(なん)ちゃん」「ひとり」、など。

「時間線下り列車」、巻末の自著解説にもあるように、幻想鉄道文学の白眉である。(ただ、ここで描かれた、日本の鉄道のそれぞれの時代の風景は、全部、体験的に知っている。今の若い人が読んで、同じように、感じるだろうか。)

「トグ兄(なん)ちゃん」、自著解説によれば、『にあんちゃん』(安本末子)を思い出しながら書いたとのこと。私自身も、『にあんちゃん』は読んでいる。ただし、いま、手元にあるのは、新しい西日本新聞社版。

「ひとり」、これもまた、「とぐ兄ちゃん」と同様に、ビンボー小説にはちがいない。だが、生きていくとはこういうことなのだ、と感ずるところがある。

ところで、日本文学で、「ビンボー小説」というジャンルを設定したら、どんな作品がはいるだろう。「日本ビンボー小説全集」の構想は面白いかもしれない。ひょっとすると、『蟹工船』もはいったりして。

當山日出夫(とうやまひでお)

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