『一刀斎夢録』2011-02-12

2011-02-12 當山日出夫

浅田次郎.『一刀斎夢録』.文藝春秋.2011

傑作である。(ただし、私個人の好みからすると、浅田次郎の最高傑作は、『きんぴか』だとおもっているのだが。)

『壬生義士伝』『輪違屋糸里』につづく、新撰組…今回の、語り手は、斉藤一。それも、時代設定としては、明治天皇の崩御から、大正と年号があらたまってから、ある陸軍士官が、その話を夜ごとに聞く。

とにかく、巧い。だから、余計なことだけ、ちょっと書く。

作中に、西南戦争のときの抜刀隊がでてくる。そして、その歌も。気になったので、YouTubeで、その「抜刀隊」の歌を検索して、きいてみたのだが、その結果は、なかなかおもしろい。

いったい、西南戦争とはなんであったのか、それは、日本の軍隊の存在を問うことであり、また、現在の日本の軍備への問いかけでもあろう。

ところで、最近、出ている、浅田次郎の本は、かならず買って読んでいるような気がするのであるが。(ただし、『中原の虹』は文庫本になるのを待ってして読んだ。)

これだけのあつみのある本を、いっきに読めるのも、年のうちで、今のシーズンだけ……と思っている。

當山日出夫(とうやまひでお)